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彌十郎が語る、歌舞伎座『水戸黄門』

彌十郎が語る、歌舞伎座『水戸黄門』

 

 2023年10月2日(月)から上演中の歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」夜の部『水戸黄門』に出演する坂東彌十郎が、公演に向けての思いを語りました。

どんな役にも貪欲に

 昭和50(1975)年6月歌舞伎座以来、48年ぶりの上演となる本作に挑む彌十郎。出演が決まったときの心情を問われると、「びっくりしました」と明かしたうえで、「今年1月の『人間万事金世中』もそうですし、こうやってチャンスをいただき、どんな役にも貪欲に取り組んでいかなければいけないなと、ありがたく思っています。とにかく、お客様に“観てよかった”と言ってもらえるよう努力したい」と、話します。

 

 公演ポスターでは、水戸光圀の姿になった彌十郎が笑顔を見せています。取材会では、ポスターの横で同じ表情を見せ、場を和ませるひと幕もありました。撮影時について、「実際に衣裳を着てみると本当に笑顔になる。子どもの頃からいろいろな方の黄門様を拝見していたので、イメージはしていましたが、やはり“なり”をしてみると雰囲気が出ます」と、微笑みます。

 

彌十郎が語る、歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」

 

勧善懲悪の世界、そして親子愛

 『水戸黄門』という作品の印象は、「勧善懲悪。最後はすっきり終われて、よかったなという気持ちにさせてくれる作品が僕は好きですので、肩の凝らないものを目指したいと思います。ただ、黄門様の役は柔らかさと厳しさが必要で、悪を滅ぼすところは厳しくなければいけないので、声のトーンの違いや芝居の違いをきっちり出せるように、研究していきたいと思っています」と、真剣な眼差しで答えます。

 

 また、「讃岐での話は有名なエピソードで、讃岐の国に養子に出した長男と黄門様のやりとりや、親子の情愛にも注目していただき、ほっこりとにこやかにご覧いただけたらと思います。地方の土地の色も見せていけたら」と、本作のみどころについても述べました。さらには、演じるにあたり「皆さんがもっていらっしゃる水戸黄門のイメージに近づけられたら。身長が高いので、そこは違和感があるかもしれませんが」と、笑いを誘いました。

里見浩太朗さんと対談

 今回、彌十郎は水戸光圀を勤めるにあたり、これまで映画やドラマで助さんや格さん、水戸光圀を演じてきた里見浩太朗さんにお話を伺う機会がありました。彌十郎の父・初代坂東好太郎や兄・二世坂東吉弥とも親交のあった里見さんから「(スチール写真が)威風堂々とした光圀で、お父様の笑顔にそっくりですね。お茶目な先輩でした」という話を聞いた彌十郎は、「父も映画で黄門様を演じたことがあったそうなんです。里見さんは19歳離れた兄とも仲良くしていただいて」と、往時を懐かしみました。

 

 「好太郎先生と吉弥さんに報告したいですね。舞台を楽しみにしています。しっかりやってください!」と励まされた彌十郎は、「お会いできて大変うれしかったです。全身全霊をかけて頑張ります」と意気込み、最後は固い握手を交わしました。

 

彌十郎が語る、歌舞伎座『水戸黄門』

 固い握手を交わす、彌十郎と里見浩太朗

 歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」は25日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

2023/10/02