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幸四郎、雀右衛門、鴈治郎が語る「第三十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」
2024年4月5日(金)から始まる、旧金毘羅大芝居(金丸座)「第三十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」に出演する松本幸四郎、中村雀右衛門、中村鴈治郎が、公演への思いを語りました。
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令和2(2020)年に、第三十六回の公演がコロナ禍により中止となって以降、旧金毘羅大芝居(金丸座)の「令和の大改修」や、コロナ禍を鑑みた開催の見送りを経て5年ぶりに行われる「四国こんぴら歌舞伎大芝居」。令和2年の公演で襲名披露を行う予定だった幸四郎は、「こんぴら歌舞伎の復活が本当にありがたく、令和の大改修の杮落としという新たな始まりに参加できてうれしく思っております」と、感慨深げに述べました。同公演に出演予定だった雀右衛門と鴈治郎も、思い思いに、再び金丸座の舞台を踏めることへの喜びを表しました。
金丸座ならではの芝居を楽しんで
第一部最初の演目は『沼津』。十兵衛を勤める幸四郎は、「令和2年3月の歌舞伎座で、父白鸚の平作と共演する予定が中止になり、やっと今回、(二世中村)吉右衛門の叔父に教わった十兵衛を皆様に観ていただく機会がきました。昔、金丸座で十兵衛を勤めた父と同じ景色が見られるという点でも、特別な舞台です」と、神妙な面持ちで語ります。平作を勤める鴈治郎は、「息子の(中村)壱太郎も、以前からお米を演じたいと話しておりました。久々に相手役としてがっつり組めます」と、期待を込めました。
金丸座と言えば、古い芝居小屋らしい演出もみどころです。今回、『沼津』では客席を使った演出や人力の廻り舞台が用いられ、続いての『羽衣』では花道上のかけすじを使った、天女の宙乗りが行われます。市川染五郎の伯竜を相手に、天女を初役で勤める雀右衛門は、「花道上を一人で宙乗りするのは初めてです。実は高いところも嫌いではないので、できるだけ上で暴れて、お客様に楽しんでいただければ」と、茶目っ気たっぷりに話しました。
わくわくできるひとときを
第二部は、喜劇の『松竹梅湯島掛額』と、長唄による舞踊『教草吉原雀』。いずれも三人そろって出演します。『松竹梅湯島掛額』について幸四郎は、「金丸座を活かした、小屋でなければできないことを考え、楽しい時間を過ごしていただきたいです」と、さまざまな工夫を考えている様子。雀右衛門は、「播磨屋のお兄様(二世吉右衛門)の女房役として勤めさせていただいたおたけを、今回は幸四郎さんと。うれしいです」と、笑顔を見せました。
さらに、「『教草吉原雀』のような、金丸座にも合う風情ある踊りを、鴈治郎さんとご一緒にさせていただくのは何十年ぶり。とても楽しみにしておりますし、お客様にもわくわく観ていただけると思います」と、続けた雀右衛門。鴈治郎は、「引抜きやぶっかえりもあり、さらに立廻りもある、観たことがない『吉原雀』だと思います。私もいい年になってまいりました。雀右衛門のお兄さんと、体に鞭打って汗をかいて頑張りたいです」と、笑いを交えながら意気込みを伝えました。
どうぞ春の“こんぴら”へ
久々の金丸座について、雀右衛門は、「昔、仮花道で衣裳の裾がお客様の肩に当たって、それがいい思い出になったと言っていただいたことがあるくらい、お客様との距離が近い劇場です」と、エピソードを交えて語りました。鴈治郎は、「世の中が元に戻ってきていることを感じる公演です。ひしめき合う客席で肩を寄せあいながら、歌舞伎を観て楽しんでいただける。そしてその様子を舞台からも見られることを大変うれしく思っております。楽しみの一言に尽きます」と、思いをかみしめます。
また、今回の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」では初めての休演日があるということで、おいしいものを楽しみたい、懐かしい方にお会いしたいと、琴平の過ごし方についてそれぞれ思い描くひと幕も。改めて、「やっと、“皆さん、旅をしましょう。春の琴平町に来ませんか”と大きな声で言えるときが来ました。ぜひとも金丸座、そして琴平町を、楽しんでいただきたいと思っています。金丸座でお待ちしております」と、幸四郎が朗らかに呼びかけると、雀右衛門と鴈治郎も深くうなずきました。
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旧金毘羅大芝居(金丸座)「第三十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」は4月5日(金)から21日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。