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錦之助、隼人が語る「松竹大歌舞伎」

 

 2024年10月31日(木)から全国20会場で行われる、「松竹大歌舞伎」に出演する中村錦之助、中村隼人が、公演について語りました。

錦之助、隼人が語る「松竹大歌舞伎」

 

夢だった親子での「引窓」

 昨年、4年ぶりに開催された(公社)全国公立文化施設協会主催による「松竹大歌舞伎」。今年は巡業公演では10年ぶりの親子共演となる、錦之助、隼人を中心とした座組で全国公演を行います。

 

 「巡業公演はまだ隼人が小学生のときに親子で行った、懐かしい思い出もあり、大好きな公演でございます」と、口火を切ったのは錦之助です。「行く土地土地でお客様に観ていただくことが何より楽しみです。隼人が昨年の『新春浅草歌舞伎』で南与兵衛を、その後7月に私が国立劇場で濡髪長五郎を演じ、いつか親子で『引窓』ができたらと思っていましたが、こんなにも早く夢がかなうとは」と、喜びを語ります。

 

 隼人も「初めての巡業公演では朝、父親と一緒に動線確認をしていました。花道のない劇場が新鮮で、探索したのが思い出に残っています。移動の多い巡業は、体調管理も大変。今回、父と責任興行としてやらせていただくにあたり、周りの人たちの体調なども気を遣いながら勤めていきたいです」と、真摯に述べます。

 

錦之助、隼人が語る「松竹大歌舞伎」

 

心の葛藤や人情を大切に

 『双蝶々曲輪日記』「引窓」では、「母親に説得され、前髪を落とし、母親の前では自首しますと嘘をつくなど…言葉や動作ではなく、目線やお腹で濡髪の心の葛藤を表現しなくてはいけない。今回演じるのは3回目ですが、どこまでそれを出せるかが私の勝負だと思っております」 と、語る錦之助。隼人は、「与兵衛は町人だった武士。せりふ回しや身体の使い方の変化を大事に勤めたいです。また、父も言う感情の部分では、義理の母親、兄弟に挟まれて葛藤する、歌舞伎ならではの義理人情の部分を意識し、精いっぱい腹の底から芝居がしたいです」と、やる気を見せます。

 

 さらに『身替座禅』について、奥方玉の井を勤める錦之助は、「やきもち焼きで、旦那に対して厳しい奥方。でもただ単に怒ってばかりではない、その可愛さを出せればと思っています。普段はすごく優しいお父さんなのでね、怖くないんですよ(笑)。どこまで怖くできるか…」と、笑いがこぼれる場面も。「山蔭右京はとても茶目っ気があると同時に、色気のある役。京の上流階級の人物ですので、品を大切に勤めていければと思います」と、隼人も続けて語りました。

 

各地での『ご挨拶』

 今回の巡業公演は、隼人たっての希望だったという『ご挨拶』から始まります。隼人は、「役者が素顔でお客様の前に出てお話をして、お客様にご興味をもっていただき、すぐに舞台を上演する。この‟ご挨拶”が、『新春浅草歌舞伎』で好評でした。今回も各地のお客様により親近感を持っていただきたく、なかなか巡業ではないことですが、無理を言ってやらせていただけることになりました」と、演目に込めた思いを伝えます。

 

 そんな隼人を見て「ここ4~5年成長著しいと、親から見ても思います。一番伸びる時期ですから、このまま進んでほしいですが、ときにはつまずいてもいいんですよ。壁にぶち当たらないと、そこから先成長はできない。自分で考える力、芝居をプロデュースする力を身につけてほしいので、今回の巡業公演も本当にいい機会だと思います」と、錦之助が頼もしそうに語りました。

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 「松竹大歌舞伎」は10月31日(木)から11月25日(月)まで、全国20会場で開催。チケットの詳細は公演情報のお問い合わせ先でご確認ください。

2024/08/14