2024年9月1日（日）に開幕した歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」の初日を前に、夜の部『勧進帳』に出演の松本幸四郎、尾上菊之助が、意気込みを語りました。

▼

受け継ぐ秀山祭

　初世中村吉右衛門ゆかりの演目が並ぶ秀山祭は、歌舞伎座9月公演の恒例となりました。幸四郎は、「今年も秀山祭を開催できることは本当にうれしく、ありがたいことです。父とともに叔父（二世吉右衛門）が始めたこの秀山祭の精神を受け継いで、堂々と自信をもって皆様にお見せしたいと思っております」と、二世吉右衛門が情熱を注いだ公演への意欲を見せます。

　『勧進帳』に弁慶として出演するにあたり、二世吉右衛門が使用していた数珠を使うことを明らかにした幸四郎。「プレッシャーもありますが、お守りとも感じます。しっかり演じなければという思いです」と、真剣な眼差しで述べます。富樫を演じる菊之助とは、「同輩として多くの舞台をご一緒していますが、お互いにぶつかり合って情熱的な舞台を一緒につくりあげたい」と、あふれる思いを打ち明けました。

岳父の夢とともに

　菊之助にとっては義理の父にあたる二世吉右衛門。「岳父が体を張って守り、育ててきた秀山祭を大切にしたいと思います」と切り出します。80歳で弁慶を演じることを目標としていた二世吉右衛門について、「岳父の身体はここにはありませんが、その魂を受け継いで懸命に勤めたいと思います」と、真摯な表情で続けます。

　「前期（第四期）の歌舞伎座で、岳父の弁慶、父（菊五郎）の富樫で、私は幸四郎さんとともに四天王として出演したことが非常に印象に残っております。今回の稽古中にそのときの思いが湧きあがってまいりました。先人たちから受け継いできた『勧進帳』が上演されることが非常に感慨深く、ますます気合が入りました」と回顧し、熱く思いを語りました。

▼

　歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」は25日（水）までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。