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「九月花形歌舞伎」が南座で開幕

「九月花形歌舞伎」が南座で開幕

  左より、市村光、坂東新悟、市村竹松、中村壱太郎、中村獅童、中村錦之助、市村萬次郎、河原崎権十郎、市村橘太郎

 

 2024年9月4日(水)、南座で「九月花形歌舞伎」の初日が開幕しました。

 今年の「九月花形歌舞伎」は、原作となったきむらゆういちの絵本が発刊30周年を迎えることを記念し、初演の地である京都で9年ぶりに『あらしのよるに』を上演。初日の開場前、出演者9名が南座の正面玄関に登場しました。

 

 マイクを持った獅童は、「『あらしのよるに』は、9年ぶりの南座での公演となります。心温まる作品になっていると思いますので、ぜひ皆様、劇場に足をお運びください」と呼びかけました。続いて皆がそれぞれに舞台に向けての思いとともにご挨拶。かけ声や拍手のなか、楽しい言葉の数々に笑顔があふれました。獅童の音頭で手を締めて、出演者9名は、いよいよ初日の舞台へと向かいました。

 獅童演じる狼のがぶと、壱太郎演じる山羊のめいとの不思議な友情を描いた『あらしのよるに』。お話は、ある嵐の夜に、雨宿りのため山小屋に身を寄せたがぶとめいの出会いから始まります。互いが狼と山羊であることを知ってもなお友情を深めていく二人。お腹を空かせたがぶの葛藤を義太夫にのせて軽妙に表現する場面では、客席から思わず笑い声があがります。密かな友情を育むがぶとめいの二人にやがて試練が訪れます。狼と山羊が入り乱れての大乱闘に発展するなか、追い詰められ、雪崩に巻き込まれたがぶとめいが迎える結末とは…。

 

 絵本の世界観はそのままに、踊りや音楽など、古典歌舞伎の要素もふんだんに取り入れた今作。狼と山羊が暗闇で探り合う場面ではだんまり、狼と山羊の争いでは大立廻りをもちいて、歌舞伎らしいみどころにあふれます。がぶとめいをはじめそれぞれのキャラクターたちの個性も魅力的に描かれ、笑いあり、感動あり、お子様から大人まで楽しめる作品です。友情や自分らしく生きていくことの大切さを伝える舞台に、劇場中が温かな笑顔にあふれ、惜しみない拍手に包まれました。

  南座「九月花形歌舞伎」は、26日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。 

2024/09/10