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八代目菊五郎が語る、歌舞伎座「四月大歌舞伎」「團菊祭五月大歌舞伎」

菊五郎が語る、「四月大歌舞伎」「團菊祭五月大歌舞伎」

 

 2026年4月2日(木)から始まる「四月大歌舞伎」、5月3日(日・祝)から始まる「團菊祭五月大歌舞伎」に出演の八代目尾上菊五郎が公演に向けての思いを語りました。

人としての生き方を問われる2作品

 八代目菊五郎として歩み始めて約1年。「菊五郎として、歴代の菊五郎が大切にした演目を上演したい」と語り、そのひとつとして『裏表先代萩』を選んだことを明かしました。『裏表先代萩』を勤めるのは、今回が初めてです。この作品を読み解いていくうえで、「古典演目を通して、人としてどう生きるべきかということを、お伝えできればと感じた」と思いを語ります。

 

 今から約200年前に三世目菊五郎と鶴屋南北が、政岡の高潔な光、仁木弾正の闇という相対する存在のなかに、市井の人間である世話物の下男小助を足して生まれた『裏表先代萩』。「『忠臣蔵』に対する『四谷怪談』や『盟三五大切』のように、南北は武家の世界を庶民の視点から見て、‟忠義とはなにか、あなたはどう生きたいか”を観客に訴えていると、この作品からも非常に感じた」と分析します。政岡・仁木・小助の三役を演じる菊五郎は、「政岡のように生きるのは難しいし、仁木のような悪人にもなれない。小助のような人生を送っているが、理想は政岡のように生きたいです」と、自分自身の生き方についても向き合い、真摯に語ります。

 

 夜の部で上演の『浮かれ心中』については、「後世に何かを残すのは太古からの人間の本能であり、この作品も『自分が後世の人たちに何を残すか』を考え、懸命に生きる主人公を描き、庶民の娯楽として人の本質を描いた」と、作品を読み解きます。「井上ひさしさんと十八代目(中村)勘三郎のお兄さんがつくり上げたこの作品に、また参加できることがとてもうれしい」と語ります。「『裏表先代萩』と同様に‟今、人としてどう生きるべきか”を問われているような作品。ご覧いただいた方が、何かを感じてくださる舞台に仕上げていきたい」と意気込みました。

 

團菊祭で辰之助襲名に華を添えて

菊五郎が語る、「四月大歌舞伎」「團菊祭五月大歌舞伎」

 

 5月「團菊祭五月大歌舞伎」昼の部では『六歌仙容彩』で5役を踊りわけます。菊五郎は、「『六歌仙容彩』は以前も舞踊会で一度演じ、やはり年齢や身分も違う5役を踊りわけるのは体力面含め大変で、まさに四苦八苦」と当時の心境とともに語ります。「5人それぞれの小野小町に思いが叶わない姿と、演者の四苦八苦とかけているのが『六歌仙』だと思う」と、本質を見出しつつ、「稽古を積んで役に肉薄できるか挑戦です」と語りました。

 

 本公演で辰之助を襲名する尾上左近とは、『寿曽我対面』で兄弟役を勤めます。「お父様の松緑さんとも曽我兄弟を演じました。門出をお祝いする気持ちで、左近さんと兄弟の絆を演じられればと思っています」と、喜びをにじませます。左近については、「紀尾井町の家として大事にしているものを大切にし、立役と女方両方やりたいと、本当に勉強熱心。世代はもちろん全然違いますが、一緒に舞台に立ち、成長し、ともに歌舞伎を盛り上げていきたい」と心強いエールを送ります。

 

 近代歌舞伎の礎を築いた名優、九世市川團十郎と五世尾上菊五郎の偉業を顕彰する「團菊祭」。今回が菊五郎になって初めての「團菊祭」であり、公演にかける演目を選ぶなかで「團十郎さんから‟『助六由縁江戸桜』をやらないか”とお話をもらった」と明かす菊五郎。「團菊祭をこれからもともに盛り上げていこう」という思いで揚巻を勤めるとのこと。「菊之助時代に、(坂東)玉三郎のお兄さんから教わったことを胸に、今回菊五郎になって、また新たな気持ちで揚巻を演じたい」と語りました。

 

 歌舞伎座の吉例興行として親しまれる「團菊祭」に向け、お客様へ「今年は三代目辰之助さんの襲名披露もあり、一段と華やかな舞台になると思います。ぜひお祝いに来ていただきたい。そして歌舞伎の魅力を存分に楽しんでいただけるよう精一杯勤めたい」と意気込みを伝え締めくくりました。

 歌舞伎座「四月大歌舞伎」は、4月2日(木)から27日(月)まで、歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」は、5月3日(日・祝)から27日(水)までの公演。「四月大歌舞伎」は、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中、「團菊祭五月大歌舞伎」は4月14日(火)から発売予定です。

2026/03/25