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南座「吉例顔見世興行」初日開幕

南座「吉例顔見世興行」初日開幕

 

 2025年12月1日(月)、南座で「吉例顔見世興行」が初日の幕を開けました。

【舞台写真は、ページ下部でご覧いただけます】

 尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎、尾上丑之助改め六代目尾上菊之助襲名披露となる今年の吉例顔見世興行。昼の部は『醍醐の花見』で幕を開け、豊臣秀吉(鴈治郎)、北の政所(扇雀)をはじめとした一同が、桜を愛でながら次々に舞い踊り、劇場は華やかな雰囲気に包まれました。続いては、『一條大蔵譚』。「檜垣」では、登場してから花道に引っ込むまで、一條大蔵卿(幸四郎)の見せる阿呆ぶりに場内も笑いに包まれます。「奥殿」では、吉岡鬼次郎(愛之助)と妻・お京(壱太郎)が大蔵卿の館へ潜り込むと、遊興にふける常盤御前(七之助)の姿を目にし、苦悩しますが…。大蔵卿のつくり阿呆をはじめ、本性をあらわす演出のぶっ返りなど、みどころの連続に、場内は大いに引き込まれました。

 

 そして、その後は菊之助の襲名披露狂言『玉兎』。「かちかち山」を題材に、さまざまな人物を踊り分ける可愛いらしい兎(菊之助)の姿に、客席も和やかな雰囲気に包まれました。続く『鷺娘』は、菊五郎の襲名披露狂言です。恋の苦楽からやがて激しい雪のなか、恋の責め苦に苛まれ妄執をみせる鷺の精(菊五郎)に、会場全体が圧倒され、惜しみない拍手が送られました。昼の部の切は、『平家女護島』「俊寛」です。初日は仁左衛門の俊寛です。流罪の身となった俊寛が、丹波少将成経(隼人)と海女・千鳥(莟玉)の結婚を祝っていると、赦免船から瀬尾太郎兼康(彦三郎)と丹左衛門尉基康(勘九郎)が姿を現します。喜ぶ一同でしたが、瀬尾が読み上げる赦免状に俊寛の名前はなく、悲嘆にくれる俊寛は鬼気迫る様子。そしてドラマティックな幕切れに、劇場は感動に包まれ、割れんばかりの拍手で幕を閉じました。

 夜の部の幕開きは『寿曽我対面』から。血気盛んな五郎(愛之助)と、物腰は柔らかいが一本芯の通った十郎(孝太郎)、そして懐の深さを見せる工藤左衛門祐経(梅玉)とのやり取りや、歌舞伎の様式美にあふれた舞台に観客は引き込まれます。鬼王一子菊若丸(菊之助)が現れると客席からは大きな拍手が沸き起こり、祝祭劇に相応しいひと幕となりました。続く襲名披露『口上』では、舞台上に裃姿の出演俳優が居並びます。仁左衛門らの挨拶に続き、菊五郎、菊之助からご来場の皆様へご挨拶を申し上げ、客席からは「音羽屋」の大向うが響きました。

 

 続いて、菊五郎の襲名披露狂言として上演する音羽屋ゆかりの演目『弁天娘女男白浪』。弁天小僧菊之助(菊五郎)に日本駄右衛門(幸四郎)、忠信利平(愛之助)、南郷力丸(勘九郎)、赤星十三郎(七之助)と豪華な顔ぶれがそろいます。「知らざぁ言って聞かせやしょう」から始まる名ぜりふや、白浪五人男のツラネなど、名場面の数々に客席は大いに魅了されました。切狂言は、常磐津の舞踊『三人形』。奴(巳之助)、傾城(壱太郎)、若衆(隼人)が、賑やかな廓のさまを描きます。顔見世らしい華やかな舞台に万雷の拍手が送られ、お客様は笑顔で劇場を後にしました。

 南座「吉例顔見世興行」は25日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。 

 

 

南座「吉例顔見世興行」初日開幕

『醍醐の花見』左より、片岡進之介、中村鷹之資、中村虎之介、中村扇雀、中村鴈治郎、片岡孝太郎、中村莟玉、上村吉太朗、上村吉弥

南座「吉例顔見世興行」初日開幕

『一條大蔵譚』左より、中村壱太郎、片岡愛之助、松本幸四郎、中村七之助

南座「吉例顔見世興行」初日開幕

『玉兎』尾上菊之助

南座「吉例顔見世興行」初日開幕

『鷺娘』八代目尾上菊五郎

南座「吉例顔見世興行」初日開幕

『俊寛』左より、嵐橘三郎、中村莟玉、中村隼人、片岡仁左衛門、坂東彦三郎、中村勘九郎

南座「吉例顔見世興行」初日開幕

『寿曽我対面』左より、尾上菊之助、中村歌女之丞、中村莟玉、中村鴈治郎、片岡愛之助、片岡孝太郎、中村扇雀、中村虎之介、中村梅玉

南座「吉例顔見世興行」初日開幕

『口上』左より、中村歌六、片岡愛之助、中村七之助、中村勘九郎、松本幸四郎、尾上菊之助、八代目尾上菊五郎、片岡仁左衛門、中村鴈治郎、片岡孝太郎、片岡進之介、中村扇雀、中村梅玉

南座「吉例顔見世興行」初日開幕

『弁天娘女男白浪』左より、松本幸四郎、中村勘九郎、中村七之助、片岡愛之助、八代目尾上菊五郎

南座「吉例顔見世興行」初日開幕

『三人形』左より、坂東巳之助、中村壱太郎、中村隼人

2025/12/04