ニュース
大阪松竹座「御名残四月大歌舞伎」初日開幕
2026年4月3日(金)、大阪松竹座「御名残四月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。
▼
▲ 「大阪松竹座と歌舞伎」パネル展示
今年5月に閉場を控える大阪松竹座。2階売店ロビーでは「大阪松竹座と歌舞伎」
昼の部は、義太夫狂言の名作『毛谷村』から。毛谷村六助(獅童)が微塵弾正(隼人)を信じてわざと立ち合いに負けたり、引き取った弥三松(陽喜)を可愛がる様子から、純朴で心優しい人柄が伝わります。そこへ一味斎の娘・お園(孝太郎)が虚無僧の姿で登場するも、六助が許嫁と知ると一変してしおらしい仕草を見せ、客席からは笑いがこぼれます。やがて六助は、師匠の一味斎が京極内匠に殺害されたと知り、その仇の正体こそ弾正と気づくと、騙された怒りに燃えながら仇討ちを誓うのでした。初役で挑んだ獅童の六助に、客席からは大きな拍手が送られました。
続いては、所縁の配役でおくる、坂田藤十郎七回忌追善狂言の『夕霧名残の正月』。扇屋の座敷では亭主の三郎兵衛(鴈治郎)が、病気で亡くなった夕霧の法要の支度をしています。太鼓持の鶴七(亀鶴)が夕霧に会いにきた伊左衛門(虎之介)の来訪を告げると扇屋の女房おふさ(扇雀)が出迎え、二人でその死を悼むところへ、不思議なことに夕霧(壱太郎)が姿を現し寄り添います。伊左衛門と夕霧が昔を懐かしみながら踊り始めると、観客も思わずうっとりし、その世界に引き込まれました。
続く『大當り伏見の富くじ』は、平成24(2012)年に大阪松竹座で生まれた喜劇です。紙屑屋幸次郎(幸四郎)が鳰照太夫(鴈治郎)に一目惚れするも縁切りされてしまい、落ち込んでいたところに富籤の一番籤が当たったことが分かります。幸次郎は歓喜のあまり踊り始めますが、その籤を誤って川に投げ捨ててしまい…。絵師の雪舟斎(歌六)や信濃屋傳七(門之助)、伏見稲荷の神官(進之介)、幸次郎の妹お絹(壱太郎)、そしてそのお絹に岡惚れしている黒住平馬(獅童)をはじめ、河童や猫も登場し、終始賑やかで笑いにあふれた本作。グランドフィナーレでは手拍子も沸き、客席と一体になる盛り上がりをみせて幕となりました。
夜の部は『寺子屋』から。松王丸(Aプロ:仁左衛門/Bプロ:幸四郎)と女房の千代(孝太郎)、武部源蔵(Aプロ:幸四郎/Bプロ:隼人)と女房の戸浪(壱太郎)、二組の夫婦の忠義と悲劇が描かれます。初日はAプロで、松王丸を仁左衛門、武部源蔵を幸四郎が勤めました。寺入りでは、寺子屋に通う元気な子どもたちの場面から始まり、その様子に観客も思わずほころびますが、春藤玄蕃(亀鶴)とともに松王丸が現れると、そこから舞台の様子は一変。松王丸の父と検分役との複雑な心境を描く「首実検」の場面は観客も固唾をのんで見守ります。後半、菅丞相への思いと忠義のために我が子を犠牲にした真意を語り、その本来の姿に観客も涙します。御台園生の前(高麗蔵)と菅秀才の再開が叶うなか、一同による「いろは送り」が行われ、客席からは万雷の拍手が送られました。
続く『五條橋』は、夜更けの五條橋で、武蔵坊弁慶と後の源義経である牛若丸との出会いを描く舞踊劇です。勇壮な弁慶を獅童、品格をもつ美少年の牛若丸を陽喜が、親子で勤めます。薄衣をまとった牛若丸が花道から姿を現すと、場内から大きな拍手が。続いて豪快な出立の弁慶が登場し、二人は三味線の音に乗せて華やかな立廻りを繰り広げて魅了します。客席からは盛大な拍手と温かいまなざしが送られました。
夜の部の幕切れは、坂田藤十郎七回忌追善狂言として上演する、玩辞楼十二曲の内『河庄』。初日はAプロで、鴈治郎の治兵衛、扇雀の小春、そして歌六の孫右衛門の配役です。治兵衛(Aプロ:鴈治郎/Bプロ:扇雀)の身を案じた女房のおさんからの手紙が紀伊国屋の遊女小春(Aプロ:扇雀/Bプロ:壱太郎)のもとに届けられ、小春は一人で死ぬ決心をしますが、そこへ治兵衛の兄・粉屋孫右衛門(Aプロ:歌六/Bプロ:鴈治郎)が蔵屋敷の侍になりすましてやってきます。悲しみに打ち沈むやりとりを観客も切なく見守るなか、治兵衛が憔悴し切った姿を和事独特の足の運びだけで表現する花道の出で観客を魅了します。治兵衛の独り語りなど見せ場が続き、思いが交錯した展開に劇場全体がぐっと引き込まれながら幕を閉じました。
▼
大阪松竹座「御名残四月大歌舞伎」は、4月26日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。
