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仁左衛門が語る、大阪松竹座「御名残四月大歌舞伎」、「御名残五月大歌舞伎」
2026年4月3日(金)から始まる大阪松竹座さよなら公演「御名残四月大歌舞伎」、5月2日(土)から始まる「御名残五月大歌舞伎」に出演の片岡仁左衛門が、公演に向けての思いを語りました。
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道頓堀のぬくもり、大阪松竹座への夢
2026年5月に閉場を控える大阪松竹座では、閉場前、2カ月続けて歌舞伎公演が行われます。仁左衛門は「大阪松竹座は、芝居町であった道頓堀の長い歴史を受け継ぐ劇場。道頓堀は、私が初舞台を踏んだ場所でもあり、父(十三世片岡仁左衛門)が上方文化を守りたいと立ち上げた『仁左衛門歌舞伎』など、さまざまな思い出や歴史がございます。寂しい気持ちはありますが、上方歌舞伎の役者としては、これからも大阪で生まれた文化を大阪で守っていきたい、という希望をもっています」と、挨拶しました。
仁左衛門にとって道頓堀は、幼少期からの記憶が詰まった場所です。「最初の思い出は中座ですね。当時は(楽屋の)お風呂を薪で炊く匂いが舞台まで漂っていて、ロビーに庭があって、雨が降ればそこに響く雨音が聞こえる、そんな良き時代のぬくもりを感じる場所でした」と、当時の情景を懐かしみます。大阪松竹座に対しても、「映画館だったころから、いつかこの劇場で歌舞伎を打ちたいという夢をずっと抱いていましたので、叶ったときは本当にうれしかったです。観やすく、働きやすい劇場になるように客席の設計や楽屋のことも、私なりにいろいろとアドバイスをさせていただいた、愛着のある劇場です」と、並々ならぬ思いを口にします。
60年を経て挑む大役
4月夜の部で勤めるのは、『菅原伝授手習鑑』「寺子屋」の松王丸です。「(仁左衛門の)襲名披露興行のときにも、関西の役者として丸本物をしっかりと勉強して勤めたいという思いで大阪松竹座で演じた役。初役(昭和41[1966]年、大阪朝日座)からはちょうど60年が経ちますが、役者に集大成はありません。常に途上です」と、振り返ります。「『寺子屋』は、現代の方が初めてご覧になったら納得できない部分もあると思いますが、そういう気持ちを忘れ、松王丸の気持ちになっていただけるように演じたい。これは『盛綱陣屋』もですが、骨格のしっかりとした、筆を入れる余地がない作品です」。
5月夜の部では、『近江源氏先陣館』「盛綱陣屋」の佐々木盛綱を勤めます。「これも大好きな作品。これまで小三郎、和田兵衛と、暴れの注進(信楽太郎)を演じました。子役の頃に(三世)市川壽海のおじさんの盛綱を間近で拝見したときの感動を、今でも鮮明に覚えています。とにかくせりふが素敵で、格好よく、子供心にいつか自分も、と、憧れたお役でした」と、振り返ります。「大阪松竹座の(映画館から演劇専門劇場への)再開場のときに、やらせていただきました。それからどれだけ進歩できているか、頑張りたいと思っています」と、真摯に語ります。
感謝を込めた「さよなら公演」の趣向
今回の公演を「感謝の場」と位置づける仁左衛門。「御名残五月大歌舞伎」夜の部『當繋藝招西姿繪』では、監修を勤めます。「松竹座への、道頓堀への、そして上方歌舞伎への思いを込めて、ゆかりの役者さんたちと踊りや芝居で構成するひと幕を考えています。皆様との距離を縮められる時間にしたいですね」と、微笑みます。
「さよなら公演と銘打っていますが、基本的には、今までと変わらずしっかりと、そしてさらに磨きをかけてお届けしたいです。そして歌舞伎を長く愛してくださっている方はもちろん、初めて足をお運びになる方にも、あらゆる方に観ていただきたいですね。歌舞伎は面白いんだと思っていただける舞台をお見せしたいです」と、温かな口調で語りました。
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大阪松竹座「御名残四月大歌舞伎」は4月3日(金)から26日(日)まで、「御名残五月大歌舞伎」は5月2日(土)から26日(火)までの公演。チケットはそれぞれ、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。
