歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



手組みの組紐は、帯のうえでしっくりと締まります。普段にきものを着られる方にとっては、手組みの組紐は必需品です。

代表的な組台は、丸台、角台、高台の三種類。この丸台は、簡単なようでいてどれだけ熟練しても習得しきれない奥の深い台です。

 

一、きっかけは歌舞伎俳優!? 組紐の歴史

 組紐の歴史は遠く昔へと遡ります。日本へは、飛鳥・奈良時代に仏教伝来とともにその技法が伝えられたとされており、経典や袈裟などに用いられたそうです。その後、組紐の技術は独自の発展を遂げ、武具や茶道具などにも多く利用されるなど工芸色の強いものへ と姿を変えていきました。

 組紐が帯締めとして利用されるようになるのはそのだいぶ後のことのようです。それは江戸時代、当時人気であった歌舞伎俳優が衣 装の着崩れを防止するため帯の上に締めた紐がきっかけとも、また江戸の太鼓橋再建の折りに芸者衆によって考案されたお太鼓結びを支えるために用いられことが始まり、とも言われています。そして、それを真似た女性らの流行を通じ、またその便利さからも廃刀令後の明治時代には庶民へも定着していくこととなったのです。

 今回訪れた伊賀組紐の起源は古く、奈良時代以前にまで遡るといわれています。しかし、産業として定着するのは明治時代の中頃で、当時東京で住み込み奉公していた広沢徳三郎氏が組紐技術を習得し、伊賀の上野市(現伊賀市)で開業したことから地域全体へとその技術が広がっていったそうです。

長沼静きもの学院

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