歌舞伎いろは

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 基本どおり、単衣に合わせた帯が夏ものならば、絽や絽ちりめんなどの夏ものの半衿を(写真では上のもの)。冬帯を合わせたなら、塩瀬などを選べば間違いなしです。ただし、刺繍などが入っている場合は柄に注意しましょう。夏を感じさせる柄が入っているものは避けます。また、夏ものといっても、麻は単衣には合いません。

 

 単衣になったら、夏帯を締めている時期でも、盛夏のパナマや麻などの素材を使った履物は、避けたほうがいいでしょう。それ以外であれば、きもの、帯とのバランスで決めて大丈夫です。バッグのときと同様、草履を履いた姿を鏡に映してよく見てください。そのとき、足元だけ軽くなりすぎていないか、重くなりすぎていないかで判断するのがよいでしょう。

 

 季節先取りが基本ルールであり、おしゃれと考える、…それこそがきものです。とはいえ、気温が30度を超えるような残暑であれば、9月の1週目ぐらいまでは夏きものでもよいといわれています。
 また、単衣に合わせる帯や小物を切り替えるのに、必ずしも9月15日にこだわることはありません。お住まいの地域の慣習や出かける場所にあわせ、臨機応変に対応してください。ただし、冠婚葬祭の場合は先様があることを忘れずに。暑さは我慢しても基本を守りましょう。

 
 
 

 夏帯を締めた場合でも、カゴなどの夏を感じさせる素材は、単衣のきものと相性がよくありません。素材よりもむしろ、色を意識して選ぶと失敗が少ないのではないでしょうか。夏帯なら涼しげな色合いのものを、冬帯でしたら少し重量感のあるものを選んでみては。とにかく、合わせて“見る”のが一番。きものを着てバッグを持ち、鏡にその姿を映して違和感のないものを選ぶのが確実です。

 

 着る機会が限られるのに、わざわざ単衣の晴れ着をつくるのは…とためらう人もいるかもしれませんが、6月と9月は結婚式など、晴れ着を着る機会が少なくない季節でもあります。それにもかかわらず、きちんとした印象を与えられる洋服の礼装を探すのは、けっこう難儀ではありませんか。
 こんなときこそ、きものの出番。晴れ着度も高く、きちんとした印象も抜群。意外に活躍のチャンスは多いのです。誂えるのは…と思われるのなら、まずはレンタルを試してみてはいかがでしょう。

 
 

長沼静きもの学院

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