歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



有松の絞りのゆかたに袖を通した大竹彩乃さん。華やかな柄付けが予想以上にご自分に似合うことにちょっとびっくり。長板中型の綿絽を合わせた大竹優子さんは、大人のおしゃれ度がぐっとアップするゆかたに感激していらっしゃいました。

 

関千里さんはピンク地の絽の小紋に白の紗の帯を合わせて。色白のお顔によく合う、夏のはんなりコーディネイトに挑戦です。夏大島は初体験という関純子さんは見た目だけでなく、さらっとした肌触りと羽のような軽さに感動していらっしゃいました。

 

着こなしでも軽やかさを演出

ゆかた姿になっていただいた大竹さん母娘。綿絽と絞り、帯結びもお太鼓と変わり文庫と違いますが、ちぐはぐな印象にはならず、むしろお互いを引き立て合うような感じです。街角で出会っても、きっとお二人の仲のよさが伝わってくることでしょう。

 
大人のゆかた、若いゆかた、母娘ならではのゆかた
 ご登場いただいた読者モデルは、大竹優子さん、彩乃さんと、関純子さん、千里さんのお二組。大竹さん母娘には、これまできものを着るチャンスはあまりなかったけれど、スポーツ好きの活動的な方だとうかがい、ゆかたを。関さん母娘は、普段からきものをきる機会も多いとのことで、夏物を着ていただくことになりました。

 大竹優子さんに着ていただいたのは、長板中型の綿絽。藍地に、花火を想わせる文様が白抜きですっきりと配されています。純子さんはとてもスタイリッシュで、洋服の趣味も大人シックな印象。けれど、母娘でゆかたを楽しむというシチュエーションならば、いつもより少し華やかなものがよいのではと、このゆかたになりました。

 もちろん、ゆかたといえども大人の女性としての品格は必須です。その点、藍地の綿絽なら、きちんとした印象になりますし、帯も羅をお太鼓に結んであるので、さらにきちっとした感じがします。これなら、夏の気軽なお出かけにOKなコーディネイトとなります。

 お嬢さんの大竹彩乃さんには、ブルー地の有松絞り。朝顔の柄が大胆に配されたゆかたです。生地だけ見ると「華やか過ぎでは?」と思われるかもしれませんが、色が白く、背の高い彩乃さんにはよく似合いました。若い世代のゆかたでのお出かけ先である花火大会や、夏のイベント会場は賑やかな場です。そういうシチュエーションで着ることも鑑みて色柄選びをすると、さらにゆかたを楽しめること間違いなしです。

 綿絽と絞り、母娘で違ったタイプのゆかたですが、おしゃれ度合が通じているので、ひと目で母娘とわかるコーディネイトになりました。ブルーで統一され、とても涼しげで、すれ違う人が振り返るような人目をひくお二人に変身です。


夏ならではの贅沢きものを母娘で楽しむ
 関純子さんに着ていただいたのは黒地の夏大島です。純子さんが普段お召しになるきものは、ほとんどがやわらか物だそうで、袖を通すまでは、「大島が自分に似合うのかしら」とちょっと心配でいらしたとか。けれど着付けてみたら、これが驚くほどよくお似合い。普段は、やわらかい淡い色をよく着ていらっしゃるそうですが、ご自分の気持ちまで変えてしまう、きもののパワーにびっくりされていました。

 夏大島は、夏結城、小千谷縮、越後上布などと並んで、夏のぜいたくきものの最たるものです。やわらか物ではないので、あくまでカジュアルな場面に限られますが、最上級の大人のおしゃれを演出できるきもの。日頃から和装に親しんでいる純子さんのような方にこそ、ぜひ着ていただきたい夏物です。

 お嬢さんの関千里さんには、紅花染めの優しいピンク地の絽の小紋を着ていただきました。夏のきもののなかでも、絽の小紋は最も応用範囲の広い一枚。カジュアルなシーンではもちろんのこと、柄付け、帯合わせ次第ではセミフォーマルな場にも対応できます。

 歌舞伎ときものが大好きで、週に一度はきものに袖を通されるという千里さんには、まさしくふさわしい一枚。ピンク地が、色白のお顔にとてもよく映えました。千里さんは撮影が決まってから、ピンク色のきものを着る夢をご覧になったそうで、まるで夢が現実になったかのような着こなしに驚くとともに、とても喜んでいただけました。

 お母様が大島、お嬢さんが絽のきものという組み合わせも、夏の母娘でのお出かけにふさわしい一例ではないでしょうか。きものを着慣れた方だからこその雰囲気がよく表れたコーディネイトです。

長沼静きもの学院

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