①最初に、糸を束ねて玉に巻いていきます。「糸裁き」を丁寧に行うことで、きれいな仕上がりになります。 ②丸台に玉をセット。あとは、対角線上にある玉を持って糸の位置を動かしていきます。

 

③ある程度組めて来たら、糸の取り違いがないか確認します。 ④台から垂らす玉の位置もチェック。組み進むにつれ、玉に付けた糸が短くなってくるので、一定の長さに延ばしていきます。初めてでも、2時間ほどででき上がる帯締やストラップなどの小物を作ることもできます。

 

①上で使用している「丸台」とは逆に、組み上がった紐が上に延びていく「角台」。芯が固定されていて初心者でも組みやすいそうです。 ②「綾竹台」は平たい紐が組み上がります。柄の種類がとても多い組台です。 ③「高台」は玉の数をたくさん増やすことができるので、その分、絵のような柄や複雑な組目が表現できます。

 

 「定年後の趣味を探していました」という、くみひも科の嶋田良子さんにうかがいました。以前から洋裁が好きだったそうですが、新しい挑戦をと考えていたところ、「長沼静きもの学院」のサイトにあった「くみひも」に興味を持って銀座校を訪ねられたそうです。
 「基本的にマンツーマンで先生に見ていただけるので、とても丁寧に教えていただけますし、同時に、生徒さんからも配色などアドバイスしていただけたりもします。そこから先生も交えて楽しいおしゃべりが始まることも多々!」とのこと。くみひもは一人で行う作業ですが、教室では「わいわい皆で楽しみながら、お稽古を重ねていけます」。
 くみひもは年齢に関係なく、手先を使う作業が好きな人におすすめという嶋田さん、今では「生涯の趣味になる気がする」と、くみひもの魅力にとりつかれているご様子でした。

まずは手を動かしてみませんか
 では、くみひもを実際に体験してみましょう。くみひもは初めて、という人におすすめなのが、長沼静きもの学院の「くみひも選べるプラン」です。手を動かしていると模様を描きながら紐がどんどん組み上がってくる、その楽しさが始めたその日に実感できるのです。

 使うのは「丸台」と呼ばれる最もシンプルな組台です。円形の天板に糸を巻いた玉をセットしたら、あとは玉を持って糸の位置を変えることを繰り返します。慣れてくると、教室にはカラカラと玉と玉が当たる心地よい音が響き渡ります。

 規則的に手を動かしてくると、だんだんリズムに乗って楽しくなり、おしゃべりも弾みます。教室が笑い声であふれることもあるそうです。そうこうしているうちに、中央の錘(おもり)をつけた部分が長くなってきました。糸を規則正しく動かした結果が、美しい紐となって現れています。

 好みの長さができたら糸で綴じてでき上がり。付属品を選んでストラップやブレスレット、コースターなどに仕上げて持ち帰りできます。

組台を変えれば様々な組み方が可能
 今回使った「丸台」は丸紐のほか平紐も組むことができ、均等な組目の美しさが特徴です。偏りなく力をかけられるようになると、組目も均等になって美しさに磨きがかかります。糸の位置を変えたり、玉の増減により、様々な紐を組むことができます。

 くみひもの台にはほかに、「角台」、「綾竹台」、さらに複雑な柄、文字などを描き出す「高台」などがあります。

 文字を書いたり、複雑な絵柄を組み上げたりするのはさぞかし難しいのでは…と思い、ずばりうかがってみました。「いいえ、編み物と同じです。基本の模様をつくり出す設計図、くみひもでは『綾書き』といいますが、それに従って糸の位置を変えていけばいいのです」。あとは、どのように模様を組み合わせるか、何色の糸を選ぶか…。そこに個性が表れます。

年齢不問で一生付き合っていけるお稽古事
 「くみひもは配色や柄で、その方の個性を表現することができる楽しさがあります。自分でどのような作品をつくりたいのか、イメージを思い浮かべることが大切です」と大野先生はおっしゃいます。

 「糸や玉の数は教えられても、こういうものにしたい、という作品のイメージはその方にしかわかりません。組み上がった作品を通して、その方の思いを見せていただける楽しさがあります」。

 くみひもは一定の動作の繰り返しのようですが、単純なことを丁寧に、同じリズムで続けることは、なかなか根気のいることです。でも、その結果、自分が思い描いた美しい作品が生まれます。だからこそ、くみひもを長く続ける人が多いのでしょう。

 くみひもは体力不要で、とてもいい頭の体操になります。だから年齢も不問。実際、教室に通われているなかには80歳代の方もいらっしゃいます。くみひも体験は、長く付き合っていける趣味、仲間との出会いになるのではないでしょうか。

 

 

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