井尻学さん。昭和40年生まれ。モダンでシック、ポップでエレガントな独特の世界にファン多数。学院祭参加15年目、「そう来ましたか!と言われるのが好き」とのこと。

 

手染屋「吉兵衛」の木村和晃さん。昭和46年生まれ。京都で型染小紋を扱い、染色一級技能士にも認定されている四代目。「時代の色を出していきたいですね」と意欲的。

 

学院生徒の成果も披露
長沼静きもの学院のくみひもコースで研鑽を積んだ生徒の作品も展示。帯締にとどまらない可能性を見せました。学院祭2014のテーマ「Dreams」も、くみひもで書いてみました。

 

新たな楽しみは実際に試してみて
くみひも体験はもちろん、学院祭で初めてきものを着た方もいらっしゃいました。きものをもっと手軽に楽しく、きものに親しんでいる人には新鮮なご提案を――。広くて深いきものの世界が堪能できる学院祭となりました。

 
モダンにポップに。新たなきものの選択肢
 「長沼静きもの学院」の学院祭を訪れるたび、きものの未来は明るいと感じるのは、実にバラエティーに富んだ作家に出会えるからですが、まさに「新しいきもの」を提案しているのが井尻学さん。“こうもり”をアイコンに、モダン、キュート、ポップ、エレガント…、生み出されるきものデザインは既存のきもののイメージを大きく覆すものです。

 「父は友禅の職人でしたし、私自身も修業時代は熱心に古典柄を勉強してきました。が、30代になって独立を決めたとき、自分らしさを打ち出そうと“こうもり”柄の帯と付下げをつくってみたのです。当初はPRのつもりでしたが、これが評判をいただき、こういったきものを待っていてくださる方がたくさんいたのだと確信を得て、ならば私は“それ”だけをつくろうと思いました」

 「きもの好きの方はまず古典柄となりますが、その次を求める方も少なくない。その方たちに向けて、こういうチャンネルもありますと提示していくのも、現代の作家に必要なことではないかと思います。今では“次は?”と楽しみにしてくださるファンの方がたくさんできました。その方たちをどうやって驚かせようか、楽しませようか…。それを目指して新たなきものに取り組んでいます」

若い世代がこだわる「手」ワザ
 型染小紋を扱う「手染め屋吉兵衛」の木村和晃さんは、京都でこの生業を始めた家の四代目。幼い頃から父、祖父の染めの仕事を身近に見て育ち、貝紫で染めた布が見事な紫に変わっていくことに感動を覚え、この道に進んだと言います。

 「うちの工房では、型紙を使用した“板場友禅”と、しけ刷毛で染める“志毛引染”を中心に、さまざまなきものを扱っています。代々、この仕事をしてきていますから、伝統の技に対するリスペクトの気持ちは強くあると思います。が、それを今のお客様にどうやって楽しんでいただくか、着ていただくかは、現代に生きている僕らだからこそ、考えつくこともあるのではないでしょうか」

 「ただ、変わらずこだわり続けたいのは、“手”の技であること。近頃は、機械に頼る型染も少なくありませんが、うちの工房は徹底して手作業です。しかも職人がみな僕らと同世代の30代。その若さが生み出す新たなきものを楽しんでいただけたらと願っています」

バラエティーに富んだきもの体験
 5人のきもの作家のお話で共通していたのが、伝統を大切に受け継ぎつつも、そこから新たなものを生み出そうという強い意欲。きものを楽しむ側も、“いつもと同じで安心”ではなく、新たな楽しみを広げていきたいものです。

 「長沼静きもの学院」の学院祭では、きものショーで新しいきものの楽しみをご紹介するほかにも、実際に、手ぶらでOKの「きもの体験」コーナーも用意されました。ヘア&メイクの体験もできてしまうという欲張りプランで記念撮影も。さらに、ウエディングドレス姿に変身できる「ドレス体験」も好評でした。

 また、学院の生徒が作成したオリジナリティあふれる作品が並ぶ「くみひも展」を見た後は、ブレスレットづくりができるくみひも体験コーナーへ、というお客様も多く見受けられました。

 きものという日本の伝統美の中から、若い世代が紡ぎだす新たな美。実際に試してみたい、自分に似合うか心配、どんなふうに着たらいいのかわからない…、具体的なことはプロに聞くのが一番! 長沼グループではトータルにきものの楽しみをご提案するため、新たな会員サロンを誕生させました。詳しくは下記をご覧ください。

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