歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



人力で動かす廻り舞台

舞台裏見学の楽しみ

 昔ながらの風情をたたえた芝居小屋は全国にいくつもあるが、日常的に劇場として機能しているところは希有だ。康楽館では年間を通じて常設公演が行われており、それが日本最古の“生きた”芝居小屋といわれるゆえんである。

 その舞台裏がどうなっているのかは興味を引くポイントだが、康楽館では黒衣を着用した“黒子さん”と呼ばれる劇場スタッフが舞台裏を案内してくれる。舞台裏見学は、歌舞伎などの特別な公演が行われる時や年末年始などをのぞいて、ほぼ連日行われている。

 客席後方の階段から奈落に下りると、通路に過去に上演された「松竹大歌舞伎」のポスターが何枚も貼られていた。そこに写っている名優や若き日のスターもここを通ったのかと思うと、感慨もひとしおだ。楽屋に残された無数の落書きもまた同様である。

 現在の常設公演は松井誠監修の「下町かぶき組」によるもの。人情芝居と舞踊ショーの2本立てで、その間に何ともあたたかな気分にさせてくれる観客参加の「お遊びコーナー」が入る。そこにはある種の懐かしさを伴う、人と人のふれあいがあった。


1、2階席で見学説明を聞く観客 2、黒衣姿で解説をする“黒子さん” 3、舞台のすぐ裏にある楽屋 4、楽屋の壁や天井にはいたるところに落書きが 5、入口付近に飾られた過去の歌舞伎公演の番付 6、奈落の左右に壁には歌舞伎公演のポスターがびっしり

歌舞伎と旅

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