歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



父が決めた「旗に太陽、兜に月」を、自分らしく表現した政宗の甲冑姿。

変化を恐れず時代をつかんだ伊達家の繁栄とお家騒動

 「伊達政宗=派手好き」のように思われているが、必ずしもそうではない。例えば彼の鎧兜は、額の大きな月が印象的なため一見派手に見えるが、月が映えるのは甲冑や兜をほとんど黒に統一しているため。派手というより、シックに計算された装いなのだ。政宗は南蛮渡来のものも好きで、衣服などによく取り入れているが、そのまま使わず、日本にはない大胆な色彩や意匠を自分なりにアレンジしている。「誰もやらないことをやる」「自分がよいと思えば人がどう思おうとやる」彼の性質が、そうした形で表れているのだろう。

 初代藩主・政宗の新しいものを生み出そうという気質を受けて、仙台は文化的にも産業的にも大きく発展。その豊かな財政を背景に、三代・綱宗は遊蕩にふけったといわれる。彼の行状は藩のためにならないと判断した家臣たちは、なんと彼をリコール!新たに藩主の座に座ったのがたった2歳の亀千代だったために、藩の実権を巡って起きたのが伊達騒動だ。亀千代の生母・初子をモデルに、歌舞伎『伽羅先代萩』の忠義の乳母・政岡が生まれたという。『伽羅先代萩』の初演は、実際にこの騒動が起こってから100年近く経ってからのこと。その後も変わらぬ人気を誇り、現代まで受け継がれる名作中の名作となった。

考勝寺にある、釈迦堂と初子・亀千代親子像。
   
仙台市博物館

住所

 : 

仙台市青葉区川内26番地<仙台城三の丸跡>

TEL

 : 

022-225-3074

営業時間

 : 

9:00 - 16:45 (入館は16:15まで)

定休日

 : 

月曜日(祝日・振替休日の場合は開館)、祝日・振替休日の翌日(土・日曜日、祝日の場合は開館)、12月28日~1月4日

入館料

 : 

400円(大人)

HP

 : 

http://www.city.sendai.jp/kyouiku/museum/

考勝寺

住所

 : 

仙台市宮城野区榴岡4丁目11

TEL

 : 

022-256-5402

家康らもできなかった欧州使節派遣を実行した政宗。
欧州の画家による使節・支倉常長像(油彩・国宝)が、政宗のチャレンジ精神を伝える。
『伽羅先代萩』一の見せ場・御殿の場を描いた錦絵。
亀千代の生母・初子のものといわれる。(以上3点はすべて仙台市博物館蔵)

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