歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



昭和初期のねぶた祭りの様子。

悪霊や穢れを祓う夏の風物詩

 ねぶた祭りの原型は、おそらく灯籠流しのようなものだろうといわれている。穢れを祓うために、紙製の人形などを川や海に流す風習は全国各地にあるが、ねぶたも7日目に海に流すのが慣わし。現在は地球環境に配慮し、海に流すことはしないが、その年の表彰作品が、代表として海上運行するという風に形を変えて、祭りの原型をとどめている。

 昔は神輿のように担いで移動するものだったというねぶた。明治そして戦後と大型化するにつれて担ぐことが難しくなり、現在のように台車にのせて引く形になったそうだ。電気のない時代は内部に蝋燭を入れ、運行中火が消えたり、ねぶた本体に燃え移ったりしないように、人が中で付きっきりの世話をしていたというから驚きだ。今は内部に仕込んだ1トン前後の巨大な発電機から送られる電気が、ねぶたを明るく照らす。

 笛・太鼓・手振り鉦でお囃子を演奏しながら歩く囃子方、花笠をかぶり華やかな色のたすきをかけた浴衣姿の跳人(踊り手)に続き、威風堂々と進むねぶた。カッと口を開けた龍、つかみかからんとする鬼の手、悪者をねじ伏せる勇者…今にも動き出しそうな力強い姿が、人々の胸を熱くさせる。

血湧き肉踊るねぶた祭りの夜。お囃子に乗って踊るハネトたち。夜が更けても興奮は収まらない。

歌舞伎と旅

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