歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



ワイヤーを紐でくくって作られるねぶたの土台。

夢を描いて組み上げる、ねぶた師の仕事

 ねぶたを制作する「ねぶた師」と呼ばれる人々がいる。講談や歌舞伎、伝説などから想を得て、ねぶたの元となる絵を描くところから、ねぶたを組み上げ、色付けして祭りに送り出すまでが彼らの仕事。今年3台のねぶたを手がける竹浪比呂央さんに話をうかがった。

 「私にとって一番大変なのは絵を描きあげるまでです。題材を探し、それをどう描くか…毎年毎年産みの苦しみですね。でも構想をうまくまとめることが出来れば、後の作業が楽。時間との戦いはありますが・・・(笑)」

 竹浪さんは大の歌舞伎ファン。

 「衣裳や色使いなど、すごく参考にさせてもらってます。でも大好きだから逆にこだわりが強すぎて、歌舞伎を題材にしたものをまだ作れないんです」

 一年のほとんどをねぶたに費やす「ねぶた師」だが、漁師などほかに職業を持っている人が多い。竹浪さんも「ねぶた師」と非常勤薬剤師の顔を持っている。

 「大変といえば大変ですが、みんな、ねぶた師になるのが一生の夢ですから、苦労じゃないんじゃないですか。なんといっても、完成したねぶたが台車に乗って祭りのために小屋を出て行くとき! あの瞬間は胸がいっぱいになりますよ。まだ日が落ちきっていない夕暮れの空にねぶたが映えて、本当にいいものです」

 それを見ながら缶を開けて、ビールを一口。この祝杯がたまらないそうだ。

取材協力

・JRねぶた祭実行委員会
・(社)青森観光コンベンション協会
青森ねぶた祭りオフィシャルサイト http://www.nebuta.or.jp/


その年の絵が出来ると、もう次の年の題材探しを始めるという竹浪さん。先に作っておいた手や顔などのパーツを、ねぶた小屋で木組みにつけていく。人の目の錯覚を利用するねぶたには独特のデフォルメがあり、バランスが難しい。
ねぶた師 竹浪比呂央プロフィール

昭和34年

木造町(現 つがる市)

昭和57年

東北薬科大学卒業 薬剤師となる

平成元年

大型ねぶた第一作制作

住所

青森市本泉

制作歴

20年

■近年の受賞実績

平成19年度

JRねぶた実行委員会「知事賞」
ロサンゼルス青森ねぶた公演「信玄」制作
(1996年ハンガリー公演が1回目)

平成18年度

青森菱友会「知事賞」

平成17年度

青森菱友会「ねぶた大賞」
最優秀制作賞
あおぎん賞

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