歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



左:専用マークのついたこたつ列車。 右:怠け者を山へ連れ帰り、良い子にして返すという岩手の怪物「なもみ」。

こたつの温もりに心まであたたまる

左上:美しい冬景色
右上:暖かな車内から車窓の雪景色を楽しむ乗客たち。
右中:楽しみはやはりお弁当。三陸の海の幸がぎっしり詰まっている。手前「海鮮あわび弁当」後「さんりく海の幸弁当」各1,500円
右下:乗車記念証明書を配る車掌さん。
左下:昔懐かしいストーブの上でせんべいを焼く。

 岩手県の三陸海岸沿い、宮古と久慈を結ぶ三陸鉄道北リアス線。冬の週末は、車内の座席がこたつになった「こたつ列車」(全席指定)が走る。「寒い寒い!」と手をこすり合わせながら車内に入ると、だるまストーブがお出迎え。靴を脱いで掘りごたつに足を突っ込めば、おもわずなごんでほーっと一息つきたくなるだろう。窓の外は一面の雪景色だ。

 海岸線を走るこの列車は各駅停車。それぞれ景色の見どころがあり、そのつどアナウンスで紹介してくれるのが嬉しい。舞う雪の向こうに見えるのは、複雑な海岸線と打ち寄せる白い波。景色の変化に目を輝かせて喜ぶ乗客に、ストーブの上であぶり焼きにした地元名物の「山田せんべい」や、「イカせんべい」「宮古の塩あめ」などが振舞われる。

 すっかりくつろいでいると、突然「悪い子はいねえか?!」と現れたのは岩手の怪物「なもみ」だ。昔のこたつは中に炭火を仕込んでおり、長くあたっているとあぶられて、脛が赤くなったもの。この赤みをこちらでは「なもみ」と言うそうだ。“長くこたつにあたっている=立ち働かない怠け者”をいさめるために現れる怪物「なもみ」に、子どもも大人も大騒ぎ! まるで車両全体が大家族の居間になったかのような一体感。きっと昔はこんな風に、誰もが冬を過ごしていたのだろう。

 こたつの温もりに大人は童心に帰る。膝寄せ合って語り合えば、人と人との距離が縮まる。そんな冬ならではの幸せ気分をのせて、こたつ列車は雪の中を進む。

三陸鉄道 こたつ列車

定期運転日

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2009年3月1日までの土曜・日曜・祝日

料金

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全席指定(要予約TEL: 0193-62-8900)
普通運賃にプラス指定席料金300円がかかります。
1テーブルを6,000円でも予約受付(1~4名様まで、運賃と指定席料金込)

HP

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http://www.sanrikutetsudou.com/

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