歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



機知に富んだ、歌舞伎の舞台機構

 歌舞伎座の建物の歴史について振り返った後は、劇場内部に目を移し、歌舞伎の舞台機構の特徴についての解説となります。

「では、これからは歌舞伎が作り上げた優れた舞台機構についてお話してまいりましょう。最も歌舞伎らしいものとしてすぐに思い浮かぶのは花道ですね。廻り舞台やセリも、歌舞伎が発明したものです。

 現代演劇では、原作や脚本が重視され作者・演出家の意図や芝居のストーリーを楽しむ要素が多いと思いますが、歌舞伎は俳優さんの芸をみせるという点に比重を大きくおいています。そのため歌舞伎の舞台機構も、俳優さんを魅力的にみせるような工夫が凝らされています。

 花道は、単なる通路のようにも見えますが、実は俳優さんをクローズアップさせる役割を持っています。スポットライトも、映像で使うズームレンズもない時代に、俳優さんを観客にぐっと近づける瞬間を作ったんですね。

 それから演目によって、花道と平行して上手側の客席に仮花道を設置することがあります。客席にいると左右から立体的に音が聞こえてくるわけですから、これは世界初のステレオですよね。歌舞伎の舞台機構には、ダイナミックな発想がたくさん詰まっています」

 金田さんのお話は、歌舞伎の衣裳や道具、後見など、多岐に亘りました。写真を交えての解説は大変わかりやすく、これからの観劇に役立つ内容もたくさん。会場の皆さまは、ますます熱心にお話に聴き入っておられました。

昭和26年開場 4代目の歌舞伎座(現・歌舞伎座)
歌舞伎座の花道
熱心にお話を聞きながら、細かにメモをとられるお客様も多くいらっしゃいました。

歌舞伎と旅

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