歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



お城の庭で一服のお茶を楽しむ
お茶の心はもてなしの心。穏やかな時間が流れる隅櫓のお茶席。

 「諏訪の浮城」を呼ばれ、諏訪湖の水に守られて難攻不落を誇った高島城。現在は桜や藤の名所として、観光客や地元の人々に愛されるこのお城の隅櫓に茶室がある。毎月第2日曜日の10時から14時までの間、地元の茶道愛好家の集い・拾芳会によって釜がかかり、誰でも予約なしでお茶席に参加することができる。
 お茶席というと「堅苦しい」「作法を知らないと参加できない」と思われがちだが、こちらのお茶席はざっくばらん。服装は普段着でも構わない。正座の苦手な男性には「どうぞ足を崩して」とあぐらを勧める。それはひとえにゆったりとお茶を、そしてこの空間と時間を楽しんでもらいたいという気持ちからだとか。お茶のいただき方はひととおり実地で教えてもらえるので、初心者でも気軽に参加できる。  お茶の楽しみはいろいろあるが、初心者でもわかりやすいのは季節感の演出だろう。床の間の掛け軸や花、茶碗の色や柄などで表される季節感を読み解く。「花より団子」派なら、お菓子に込められた季節感に、注目してみるのも面白い。日々の喧騒に忘れがちな四季折々の自然と、それを楽しむ余裕を一服のお茶が思い出させてくれるだろう。



作法を気にするより、今この時間を共に過ごすことを楽しんでほしい、とのこと。
 
高島城隅櫓掛釜
住所 長野県諏訪市高島城1-20 諏訪高島城隅櫓
開催日 1月を除く毎月第2日曜日及び高島城祭(5月第4日曜日)
営業時間 10:00〜14:00 (※普段着でお越し下さい)
料金 500円(御菓子付き)
お問合先 主催 拾芳会(iemoto2@po30.lcv.ne.jp

諏訪市観光協会
http://www.suwakanko.jp/
400年の歴史を持つ高島城で、いつの時代も変わらぬ四季を感じる。
 
頭部を覆い尽くす白い毛は、歌舞伎の鏡獅子などの毛と同じ、ヤクの毛
『本朝廿四孝』八重垣姫。長谷川貞信画(昭和16年 1941年)。国立国会図書館蔵。無断転載禁。
 『本朝廿四孝』の原作は五段からなり、前回お話しした八重垣姫の情熱的な恋を描いた「十種香」「狐火」は、原作の四段目にあたります。物語の発端は武田家の重宝「諏訪法性の兜(すわほっしょうのかぶと)」。長尾謙信が武田信玄から兜を借り受けたまま返さなかったので両家は不和になります。そこで将軍足利義晴が、謙信の娘八重垣姫と信玄の息子勝頼を婚約させて、両家の和睦を計ったのでした。

 諏訪法性の兜は、武田信玄・勝頼を中心に戦略・戦術を記した軍学書『甲陽軍鑑(こうようぐんかん)』(江戸時代初期に編纂)にその名が出てきます。写真は、諏訪湖博物館・赤彦記念館が所蔵している「諏訪法性の兜」。諏訪大社上社神長官の守矢家に伝えられていたもので、実際に信玄が着用したかは不明だそうですが、江戸時代の川中島の合戦錦絵などでも、信玄は大抵この兜を着用した姿で描かれています。
文/栄木恵子(編集部)
 
諏訪湖博物館・赤彦記念館
住所 長野県下諏訪町西高木10616-111
TEL 0266-27-1627
営業時間 9:00〜17:00(入館16:30まで)
休業 月曜日(祝日に当たるときは火曜日) 祝休日の翌日・年末年始
入館料 高校生以上350円 小中学生170円
HP http://www002.upp.so-net.ne.jp/dsmsh/

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