歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



夏の日差しに波頭が光る、海岸線の旅
どこまでも続いていく線路。海と山の端境を列車は進む。
東能代駅の駅弁「食彩人」シリーズは、地元のレストランやすし屋が地元の食材をメインに誂えるスペシャル弁当(前日までに電話注文)。その美味さたるや絶品中の絶品ぞろい。車窓の景色が一段とその味を引き立ててくれる。
広々した岩場に奇岩が林立する「千畳敷」。見学のため、ここで「リゾートしらかみ」は10分停車。発車3分前には汽笛を鳴らして、乗り遅れないように教えてくれる。
 
地元の名人による津軽三味線の生演奏。夏だけでなく、冬の雪景色の中でもまた聞いてみたくなる。

 起点駅・東能代を出発した「リゾートしらかみ」は、街を抜けて海岸線を目指す。やがて車窓から見える景色の端に海が現れたかと思うと、線路は海岸線と並行して走るようになる。まるで手を伸ばせば浜辺の草花に届きそうなほど、波打ち際を走るのだ。夏の日差しにキラキラと光る波が、子どものころに感じた夏休みのワクワクする気持ちを思い出させてくれるだろう。
 シャッターチャンスを逃さないようにと、日本海の絶景ポイントが現れるたび、親切な車内放送が知らせてくれる。その昔、お殿様が畳を千枚敷いて酒宴を楽しんだという「千畳敷」では、乗客が一時下車して見物できるように、10分間停車するというサービスも。
 海岸線の美しさをじっくり堪能した後は、車内の展望コーナーで開催される津軽三味線のミニコンサートへ。津軽三味線の音色に乗せて、渋い喉を聞かせてくれるのは、地元の名人たち。わずか15分程度の時間だが、津軽の美しい風景とあいまって、十二分に旅情をかきたててくれる。
 「リゾートしらかみ」に乗るなら、ぜひボックス席を予約することをお勧めしたい。ボックス席は海側にしか座席がないので、海側はもちろん山側も、車窓の景色を独占できる贅沢な席なのだ。座面を伸ばしてお座敷にすることも出来るので、個室感覚で使うことが出来る。美しい日本の自然に目を喜ばせつつ、家族や友人と心ゆくまでおしゃべりを楽しむ。これぞ旅の醍醐味。ゆっくり進むローカル線ならではの旅を満喫したい。

JR東日本秋田支社
HP http://www.jreast.co.jp/akita/gonosen/index.html


弁当(各1,000円)
・食彩人弁当(やま久 0185-54-8611)
・季節のばらちらし(ミキ寿司 0185-54-2415)
・能代牛弁当(シャトー赤坂 0185-54-3690)
 
 

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