歌舞伎いろは

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繊細な竹の格子に透ける風「房州うちわ」
割いた竹を交互に編んだ格子模様が美しい房州うちわ
柄に竹の根の部分を使ったり、紙ではなく浴衣地を使ったりと、今までにない美しさを追求している。
丸い竹を割いて、格子状に編み上げてから、遠火であぶり歪みを矯めて平らにする。房州うちわの特徴である窓の部分が出来る。
うちわの太田屋
住所 千葉県南房総市富浦町多田良1193
TEL 04-7033-2792
HP http://ota-ya.net/
房州うちわの作り手・太田美津江さん。名人といわれた父の手ほどきを受け、現在はメーカーとして、また職人として伝統を受け継ぐ。

 房州うちわの特徴は、その柄にある。竹の丸みを48〜64等分に割き、糸で平らに編み上げた、半円の格子部分(窓)の美しさは、木製の柄や平らに削った柄にはないものだ。
 「竹を裂くのに、定規を当てたりしません。大体、手の感じで割っていきます」
 「うちわの太田屋」の太田美津江さんは、みるみるうちに一本の竹をうちわの柄に作り上げていく。手先の間隔で見事に等分に割かれた竹を、丸から平面にするために、糸で交互に編み上げる。太田屋では濃紺の糸を使うそうだ。
 「こうした丸い竹の柄のうちわは江戸うちわと言われて、江戸…東京で350年前くらいから作られていたものです。このあたりは竹の産地として、最初は素材である竹を江戸に送り出していましたが、明治時代の中ごろから、竹そのものではなくうちわに加工して送るようになったそうです」
 生活スタイルの変化に伴い、だんだんとうちわの需要は減ってきたが、美津江さんの父が生み出した浴衣地を使ったうちわや、ちりめん地を使ったうちわなど、新しい創意工夫が加わり、いまや房州うちわは実用をかねた美術工芸として、再び人気が高まっている。
 「うちわは24もの工程があり、昔はひとりの職人が最初から最後まで仕上げるものでしたが、今は分業化が進み、その分お値ごろにお届けできるようになりました。本物のうちわは飾っておいても絵になります。ぜひそうした本物のうちわの魅力を、気軽に楽しんでいただけたらと思います」

 

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