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尾上右近「第三回 研の會」のお知らせ

尾上右近「第三回 研の會」のお知らせ

 8月27日(日)・28日(月)、国立劇場小劇場で、尾上右近の自主公演「第三回 研の會」が開かれます。

 3年続けて3回目の「研の會」。第一回終了後、相変わらず本興行で四苦八苦する自分がいて、「何も変わらないとがっかりしていましたが、2回目が終わり、今年に入ってからどんなお役も、自分を少し客観的に見る余裕が出てきました」と、自主公演の手応えも感じはじめての第三回。「ひとえに、菊五郎のおじ様のお許し、諸先輩方のご理解、ご協力、ご指導があってのこと」と深く感謝し、今年は何をやるのと聞かれるようになったのがうれしいと、笑顔を見せました。

 

やりたいことだけでなく、苦手なことにも挑戦

 『神霊矢口渡』は七世宗十郎の選定した「高賀十種」の一つで、紀伊国屋が得意とする演目です。「今回は音羽屋の家のものではないもので、振袖の娘の大役、義太夫狂言の勉強をさせていただきたいと選びました」。立役や傾城などではなく、若い娘役のお舟が中心となって「最初から最後まで物語を動かしていく」作品というのも珍しく、「紀伊国屋の芸の香りを少しでも感じ、出せるようにしていきたい」と意欲的に語りました。

 

尾上右近「第三回 研の會」のお知らせ

 お舟は義峯にひと目惚れしますが、その義峯の命を狙うのは父の頓兵衛、「自分の恋心と親に対する義理との葛藤の部分」は、お舟の見せどころとなる場面です。人形振りで演じられるところを、紀伊国屋の四世助高屋高助(七世宗十郎の父)はクドキで表しました。「人としての生理を理解できる時代になりつつあるなか、役者の考えとして人形振りではない形が生まれたのでは。心情に突っ込んだところが最も重要なのではと考えています」。

 

 「普段、年齢より老けて見られることが多く、自分でも若い役に苦手意識があります」ともいう右近は、「内面的なところと、若さを出すことが第一で、心境の移り変わりを心理劇としてお見せできれば」と語り、やりたいものばかりでなく、苦手なことにあえて挑戦していくことも、自分の会だからこそと意気込みを見せました。

 

舞踊では意欲的な挑戦を

 『供奴』は9年前のこんぴら歌舞伎で踊っていますが、「『羽根の禿』から『供奴』と続ける形はあまり上演されていません。二つのつなぎの部分を、今までにない形でひと工夫できないかと、藤間のご宗家(勘十郎)とご相談させていただいています。当日をお楽しみになさってください」。初めて踊る『羽根の禿』は、「中途半端な年で手を出すとかえって難しいといわれている」ものであり、また、右近の曾祖父、六世菊五郎の工夫が残っている踊りでもあります。「形をなぞりながら、意志も感じていきたい思いがあります」。

 

 「何も考えていない子どもの無垢さ、一人で楽しんでいるところを出したい。技術的には、ぽっくりも履いていっそう背が高く見えるところ、しっかり腰を落として背を低く、可愛らしく見せなければならないため、短い踊りにもかかわらず、かなり体に負担が大きい」。そこから続く『供奴』、「こちらは瞬発的な筋肉を使います。前回踊ったときもふらふらでしたが、相当疲れるという『羽根の禿』のあとに『供奴』、はたして無事に踊りきれるのか、今はまだ不安です」。

 

 そんな本音もこぼれましたが、『供奴』はそれだけではありません。「六代目(菊五郎)の最後のお弟子さんである菊十郎さんに、六代目の振りを聞いてやらせていただこうと思っています。その振りがかなり細かい。間(ま)を目いっぱい使って踊り込むところが多く、足拍子も裏間(拍と拍の間をとる)ですし…。今はほとんど踊られない“おはもじ”のくだりもさせていただくつもりです」。『供奴』がもつ多面性がしっかり凝縮した表現を目指すと語りました。

 自主公演の準備の大変さは変わらず、市蔵、松也、國矢、蔦之助の出演を「本当にありがたい」と感謝する言葉にも実感がこもります。「手づくり感を大切に」と、チラシの題字やデザインに思いを込め、3役のスチール撮影だけで「5時間弱かかって」本番を思うと押しつぶされそうになる自分もいながら、「悔しさが会を続けるモチベーションになる」という右近。目標の10回開催に向けてこの8月、第三回の幕を開けます。

 

尾上右近「第三回 研の會」のお知らせ尾上右近「第三回 研の會」のお知らせ

 『神霊矢口渡』お舟の海老ぞりは「内面が表れた、象徴的な形」。本番は横向きですが、チラシでは「インパクトをねらい、カメラに向かってしてみました」

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尾上右近自主公演

「第三回 研の會」

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   福内鬼外 作

一、神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)

娘お舟:尾上右近
新田義峯:尾上松也
傾城うてな:市川蔦之助
下男六蔵:澤村國矢
渡し守頓兵衛:片岡市蔵

 

二、上 羽根の禿(はねのかむろ)

禿梅野:尾上右近

下 供奴(ともやっこ)

奴菊平:尾上右近

 

 

日時

2017年8月 27日(日)17:00開演
  28日(月)12:00/17:00開演

 

場所

国立劇場小劇場

東京都千代田区隼町4-1

 

チケット

全席指定:11,000円(税込)

 

2017年7月15日(土)10:00発売

 

尾上右近事務所 080-4862-5858/070-3172-8010 (10:00~20:00)

イープラス

・国立劇場チケット売場(10:00~20:00) ※窓口販売のみ

 

お問い合わせ

尾上右近事務所 080-4862-5858/070-3172-8010(10:00~20:00)

2017/06/29