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ルフィ誕生日を祝う御園座『ワンピース』
5月5日(土・祝)、御園座「スーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』」では、お客様とともに主人公ルフィの誕生日を祝いました。
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開幕前の取材でも、ゴムゴムの実の能力者にちなんだ5月6日と思いきや、こどもの日が誕生日と、話題に上がっていたルフィのバースデー。公演中に誕生日を迎えるのは初めてです。夜の部のカーテンコールのあと、「野郎ども、宴だぁ!」のかけ声でスペシャルカーテンコールがスタートしました。
場内の「ハッピー・バーステー・トゥー・ユー」の大合唱に、マルコから早替りした尾上右近ルフィが、猿之助ルフィのもとへバースデーケーキのサプライズ。「猿之助ルフィ、右近ルフィ お誕生日おめでとう !!!」と書かれたケーキを前に二人がにっこりポーズをきめると、一段と大きな拍手が沸き起こりました。
「ルフィもさぞ、喜んでいることと思います。皆様のおかげでこうして『ワンピース』歌舞伎が続けられています。なので、何かお返しができないかなと…」、猿之助の挨拶で、撮影タイムが始まりました。舞台の中央から、お客様のリクエストに応えて上手(かみて)へ下手(しもて)へと、走り回る猿之助ルフィと右近ルフィ。花道の七三に二人のルフィが並ぶと、舞台に並んでいた出演者もカメラを向け、『ワンピース』初の記念の一瞬をおさめていました。
最後に、浅野和之センゴクが「さて皆様、ご満足いただけましたでしょうか。ルフィが舞台に二人登場するサプライズ、もうございません。どうぞ心に焼き付けて」と終了宣言。ようやく幕となりました。
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3年前に東京で誕生した『ワンピース』は、大阪松竹座、博多座の上演で少しずつ変化を見せました。昨秋の新橋演舞場で始まった再演は、全体的なブラッシュアップに加え、配役を代えての上演、ゆずの歌唱による主題曲など、大きな変貌と遂げた形で姿を現しました。それが4月の大阪松竹座というコンパクトな劇場で磨き上げられ、新たな出演者を加えてのダブルキャスト上演になりました。
そして3日(木・祝)に初日を迎えた御園座の『ワンピース』。劇場が変わると作品の印象はこんなに変わるのかというほどで、特に、舞台も客席も左右に広く天井が高い御園座では、物語世界にも広がりが感じられ、これまでにない感動体験が得られます。また、ダブルキャストでは、衣裳から異なる猿之助と平岳大のシャンクス、演出自体が変わる浅野和之と下村青のイワンコフのみならず、それぞれが役の工夫を重ねた結果、芝居のアンサンブルにも変化が生まれてきました。
第二幕では、大阪で初披露された下村イワンコフの新曲「ニューカマーランド」が乗りに乗り、名古屋のお客様をも驚かせます。そしてやはり、市松模様の壁と天井を背景に波乗りするルフィが新鮮。新たな旅立ちをお客様が三色のスーパータンバリンを鳴らして見守りました。クジラもことのほか気持ちよさそうに泳ぎ、ニューカマーたちはより自由に客席を駆け回って、初めての名古屋のお客様と“ファーファータイム”をおおいに盛り上げていました。
第三幕では、右近も隼人も二階席が近く感じられると言っていたマルコの逆宙乗りが、2階のお客様を大きく沸かせました。3階のせり出しがなく天井が高いぶん浮遊感があり、かつ客席に近いので迫力もあります。プロジェクションマッピングが御園座を戦場に変え、大音響が劇場を包み込んで地響きとして伝わってきます。幻想的な星が浜に現れた星のまたたきも、見たことのない風景になりました。
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今回の『ワンピース』再演の旅は、ここ名古屋が最終地。ルフィ同様、見事な復活を遂げた猿之助を中心に、これまで出演者一人ひとりが役に工夫を重ね、舞台を進化させてきました。この名古屋の『ワンピース』は、今しか見られない『ワンピース』。公演は5月27日(日)まで、チケットは、チケットWeb松竹、御園座ほかで販売中です。