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「二代目 中村吉右衛門 写真展」のお知らせ

「二代目 中村吉右衛門 写真展」のお知らせ

 『菅原伝授手習鑑』「寺子屋」松王丸(2012年9月新橋演舞場) (C)鍋島徳恭

 11月7日(水)~12月9日(日)、東京 ミキモト銀座4丁目本店で、「二代目 中村吉右衛門 写真展」が開かれます。

私の舞台での生き様みたいなもの

 吉右衛門が近年演じた舞台の役々を、写真家の鍋島徳恭氏が撮影、約30点を1.1×2.4メートルの大判の手漉き伊勢和紙にプリントして展示した今回の写真展。会場の大型スクリーンに映し出される舞台写真も、臨場感たっぷりの迫力あるものばかりですが、プリントではその独特な発色、質感が際立って味わい深く、役の迫力とあいまって、見る者にいっそう強烈な印象を残します。

 

 「いつも鍋島さんの写真の迫力に圧倒されます。鍋島さんは全部芝居をご覧になってから撮ってくださる。どこがどうなっているのか、わかってお撮りになってくださるからありがたい。ご当人は“記録”とおっしゃっていますが、私の生き様、私の舞台での生き様みたいなものを撮ってくださっているんじゃないかと思っています」と、歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」の舞台を終えて駆けつけた吉右衛門は、会場を見回しながらあらためて感慨を述べました。

 

舞台写真とはまた違った魅力も

 初代の芸を受け継ぐ当り役の数々、『勧進帳』の3役などがずらりと並んだ会場。展示された写真の約半数は、楽屋で舞台に出る前後などに撮影されており、「初代は化粧(かお)をしているときから役になりきり、すごいことでございますが、私はそこまでの役者ではございませんので、出る直前になりきる癖がついております。幕の開く前に撮っていただくと、役になりきることができるので、(舞台に)いい効果が出ます」と、笑顔で語りました。楽屋の写真では拵えの様子なども展示されています。

 

 今のお気に入りの一枚は今年の6月、歌舞伎座で撮影した『夏祭浪花鑑』。肉体的にハードで、「下駄を履いて子をおんぶして花道、大丈夫かなと思っておりましたが、子どもが元気よくやってくれて、それに励まされてやったようなものでございますので」と、吉右衛門の団七と、孫の寺嶋和史の市松をとらえた一瞬を挙げました。その隣には、碇床で団七が着替える舞台裏の一枚。「舞台を撮って、ここへ駆け込んで撮って、また戻って客席から撮る。マラソンで鍛えている鍋島さんでないととても撮れない」と、感服の様子も見せました。

 

 会場でもう一つ目を引くのが、「中村吉右衛門 初代/当代 三役屏風」。鍋島氏が、初代吉右衛門のモノクロ写真と、同じ役を撮影した当代の写真をコラージュした絵屏風です。『石切』の梶原、『俊寛』、そして『奥州安達原』の貞任。「3役とも私が受け継いでやっております。並べていただいてありがたいですけれど、初代のすごさにはかなわない。特に初代の『俊寛』は、シェイクスピア劇のように人間というものを描き出している、顔、姿からそういうものがわかる写真です」と、吉右衛門は率直な思いも明かしました。

 10年以上にわたって撮影を続け、「ヨーロッパで俊寛を、80歳で弁慶を、という吉右衛門さんの夢を聞いておりますので、これからもずっと追いかけて記録をしていきたいと思います」と語った鍋島氏。写真展を前に『歌舞伎俳優 二代目中村吉右衛門』(小学館刊)も上梓、こちらには112ページにわたりカラー写真が収められています。

 

「二代目 中村吉右衛門 写真展」のお知らせ

  『菅原伝授手習鑑』「寺子屋」松王丸、楽屋に手の拵え風景(2012年9月新橋演舞場) (C)鍋島徳恭

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二代目 中村吉右衛門 写真展

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日時

2018年11月7日(水)~12月9日(日)

11:00~19:00(最終入場18:45)

※11日(日)は17:00閉場

 

場所

ミキモト銀座4丁目本店
7階ミキモトホール

(東京都中央区銀座4-5-5
電話:03-3535-4611)

※入場無料

 

お問い合わせ

ミキモト カスタマーズ・サービスセンター 0120-868254

 

 

【歌舞伎俳優 二代目 中村吉右衛門 別冊芸談つき

記録 鍋島徳恭

小学館

 

発売:2018年11月6日(火)

体裁:B4判(写真集カラー112ページ、別冊芸談モノクロ112ページ)

定価:23,000円+税

 
2018/11/07