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七代目尾上丑之助初舞台を発表

七代目尾上丑之助初舞台を発表

 

 

 歌舞伎座5月公演「團菊祭五月大歌舞伎」で、寺嶋和史が七代目尾上丑之助(うしのすけ)を名のって初舞台を勤めることが発表されました。

親子二代、同じ『絵本牛若丸』で初舞台

 「5月に尾上丑之助の名跡を七代目として襲名いたします。一所懸命頑張ります。どうぞ、よろしくお願いいたします」。大勢の取材陣を見ながら、しっかり挨拶をした和史。新たな元号になって最初の歌舞伎座の公演での初舞台、「初日から千穐楽まで賑々しくご来場していただけるように」と言いながら、菊五郎は頼もしい孫の姿に目を細めました。

 

 「私の初舞台と同じ『絵本牛若丸』が和史によって、皆様のお力で、また上演できますこと、このようにうれしいことはございません」と、特別の感慨を述べたのは菊之助。昭和59(1984)年2月歌舞伎座、村上元三脚本・演出『絵本牛若丸』で六代目丑之助を名のり、祖父七世梅幸の常盤御前、父菊五郎の鬼三太ほか、そうそうたる顔ぶれを相手に牛若丸を勤めました。「偉大な先輩方が出てくださいました。もし、自分の倅が初舞台を踏むのであれば、ぜひ私と同じ牛若丸をという強い思いがありました」という菊之助の願いが、ついにかなうことになります。

 

七代目尾上丑之助初舞台を発表

 『絵本牛若丸』 牛若丸

将来は弁天小僧で大立廻りを

 和史の初舞台に向けて現在、台本の手直しがされていますが、菊之助はすでに「自分が使っていた台本で、せりふの稽古を始めており、日本舞踊も稽古し、形が決められるように今、特訓しているところです。舞台のための稽古になると、こちらがどんなに厳しくしてもへこたれません。そういうところから、歌舞伎が好きなんじゃないかと思います」。稽古に励んでいるという和史は、「お父さんのような歌舞伎役者になりたいです」と、力強く宣言して会場を沸かせました。

 

 これから和史がやってみたい役は、やはり『白浪五人男』の「弁天小僧」。菊五郎や菊之助の舞台のビデオもよく見ているといい、「激しい立廻りも好きで、弁天小僧の大屋根の立廻りですとか、『マハーバーラタ戦記』の戦いのシーンとか、しょっちゅう真似しています」。家での芝居ごっこでは菊之助を相手に立廻りをしているそうで、「いつも斬られています」と言いながらもうれしそうな表情に、父の顔がのぞきました。

 

新しい時代に歌舞伎の世界へ踏み出す丑之助 

 「今のまま、まっすぐ育ってくれれば、まずよい」と、和史に目をやった菊五郎。「教えてくださいという後輩に、歌舞伎界への恩返しと思って私が知っている限りのことは教えています。それが次の世代につながってくれればありがたい。これがあるから歌舞伎は連綿と続いてきました。歌舞伎に対する感謝、これは誰にも忘れてほしくないと思っております」。和史が新たに踏み出す歌舞伎界の将来に向け、菊五郎が願いを込めました。

 

 菊之助も、「身近に父、岳父(吉右衛門)。どんどん二人の芝居を見て育ってほしい。そして古典の面白さ、奥深さを追求していってほしい」と、和史への思いを語りました。初舞台には菊之助の御厩鬼三太に、鬼一法眼の吉右衛門、吉岡鬼次郎の菊五郎と、和史の二人の祖父もそろい、豪華な出演者たちが新たな歌舞伎俳優の門出を祝います。

 

 源氏の再興を目指して修行する牛若丸は、せりふも多く、立廻りもあります。しかし、歌舞伎座『勢獅子音羽花籠』で寺嶋和史として初お目見得をしてから3年、『髪結新三』の丁稚長松、『夏祭浪花鑑』の団七伜市松を勤め、この1月も国立劇場『姫路城音菊礎石』に出演、舞台を重ねるごとに大きな成長を見せてきました。そして、今度は七代目尾上丑之助として、5歳5カ月で5月の歌舞伎座に登場します。丑之助初舞台の『絵本牛若丸』は、歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」での上演です。

 

七代目尾上丑之助初舞台を発表

 左より、橋本芳孝歌舞伎座支配人、尾上菊之助、七代目尾上丑之助で初舞台を披露する寺嶋和史、尾上菊五郎、安孫子正松竹株式会社副社長

 

【動画配信】ニコニコ動画「歌舞伎チャンネル」では、会見の模様をご覧いただけます。

2019/02/27