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「四国こんぴら歌舞伎大芝居」初日の賑わい
4月6日(土)、香川県の旧金毘羅大芝居(金丸座)で、「第三十五回記念 四国こんぴら歌舞伎大芝居」が初日を迎えました。
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満開に咲き誇る桜のなか、今年も讃岐の春の風物詩、「こんぴら歌舞伎大芝居」が開幕しました。今回は、第三十五回の節目の公演です。
第一部は『義経千本桜』「すし屋」から始まります。平維盛を救うために犠牲となったすし屋の家族を描いた悲劇。初役である勘九郎のいがみの権太が舞台に現れると、待っていましたと言わんばかりの拍手が起こり、「中村屋!」とかけ声がかかりました。歌女之丞演じる弥左衛門女房お米に、金の無心をする権太。中車が初役で演じる父、弥左衛門は、息子が金のために維盛とその家族を差し出したと思い、その腹に刀を突き刺します。痛みに苦しみながら、声をしぼり出すように真意を語り始める権太と、息子の本心を初めて知る父の姿に、客席はどんどん引き込まれていきました。
重厚な雰囲気から打って変わり、『心中月夜星野屋』は落語を題材とした新作歌舞伎。平成30(2018)年に初めて上演した際に歌舞伎座で見せた、七之助のおたかと、中車の照蔵の顔合わせが、金丸座でも実現しました。深い仲の照蔵に別れ話を持ちかけられ、冗談だと思い、思わず心中の約束を交わしてしまうおたかですが、照蔵が本気とわかると大慌て。死にたくないおたかは、扇雀勤める母お熊と、いかに心中を逃れるか、画策します。心中の稽古をするお熊とおたかの様子に、客席も大笑い。だましだまされの連続に、金丸座には笑いが響きわたりました。
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第二部の幕開きを飾るのは、『傾城反魂香』「土佐将監閑居の場」。初役で挑む扇雀の又平に、七之助がおとくを勤めます。吃音症で、思いをうまく伝えられない夫に代わり、土佐の名字を許されたいと願う気持ちを伝えようと、亀蔵勤める土佐将監光信に、饒舌に話すおとく。その思いも空しく、師匠から名をもらうことを許されなかった二人は、死を覚悟します。しかし又平が渾身の力を振り絞り、手水鉢に自画像を描くと奇跡が起こります。夫婦の情愛に胸を打たれるひと幕です。
花盛りの桜が描かれた華やかな舞台が現れ、始まるのは、『高坏』。桂三が勤める大名に、盃を乗せる高坏を買ってくるように頼まれた、勘九郎の次郎冠者。高坏が何かを知らない次郎冠者は、虎之介の高足売に、高下駄を高坏として売りつけられていることにも気が付かず、すっかりいい気分で宴を楽しみます。酔っぱらって帰った次郎冠者は、大名と、鶴松演じる太郎冠者に、高下駄を高坏だと言い張りますが、しまいには、高下駄を履き、踊り始める始末。タップダンスのような軽やかな足取りで踊る勘九郎に、客席からは笑いが起こります。
続いて上演されるのは『芝浜革財布』。酒好きの魚屋政五郎を中車が演じ、その女房おたつを七之助が初役で勤めます。ある日、酒が好きな政五郎は女房に急かされ、いつもより早く河岸に着きます。そこで拾ったのは、大金の入った革財布。大金に喜び、仲間と賑やかに宴を行いますが、喧嘩が始まり、お開きになります。夕方、政五郎が目を覚ますと、おたつは大金のことなどまったく知らない様子で、政五郎に夢だったのだと言います。女房の言葉で、ついに改心することを誓う政五郎。幕が変わると、そこは3年後の大晦日。勤勉に働き、店まで構えるようになった政五郎におたつが見せたのは…。心温まる夫婦の物語に、客席からは幕が閉じた後も拍手が送られ続けました。
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旧金毘羅大芝居(金丸座)「第三十五回記念 四国こんぴら歌舞伎大芝居」は、4月6日(土)から21日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。こちらの公演の「舞台写真館」も後日公開予定です。