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勘九郎、七之助が語る、歌舞伎座「三月大歌舞伎」

勘九郎、七之助が語る、歌舞伎座「三月大歌舞伎」

 

 3月4日(木)から始まる歌舞伎座「三月大歌舞伎」第一部『猿若江戸の初櫓』に出演する中村勘九郎、中村七之助が、出演作品ゆかりの「江戸歌舞伎発祥之地」記念碑を訪れ、公演への思いを語りました。

石碑上部には中村屋の定紋、角切銀杏

 石碑上部には中村屋の定紋、角切銀杏

勘三郎の名前に宿る魂

 「三月大歌舞伎」の第一部で上演される『猿若江戸の初櫓』は、江戸で初めて官許の櫓を上げた猿若(初世勘三郎)と、京で活躍した出雲の阿国が登場する、江戸歌舞伎の幕開けを描いた舞踊劇です。歌舞伎座では現在、「二月大歌舞伎」第三部で、十七世勘三郎の三十三回忌追善が行われていますが、その“勘三郎”の元祖が、寛永元(1624)年に江戸・中橋に猿若座(後の中村座)を建てた初世勘三郎です。

 

 昭和32(1957)年、猿若座の初櫓を江戸歌舞伎の発祥とした記念碑が、歌舞伎座から徒歩圏内の、東京・京橋に建立されました。中村屋とゆかりの深いこの記念碑を訪れ、勘九郎は、「父(十八世勘三郎)に、子どもの頃、“ここに中村座っていうのがあったんだよ”と教えてもらったのを思い出します」と懐かしみます。さらに七之助が「この場所から始まったんだという思いです」と、感慨深く語りました。

  

 勘九郎は、「江戸のど真ん中に芝居小屋を開いた、初世勘三郎の、座元としてのプロデュース力。その名を継いだ祖父(十七世勘三郎)と父も、何かを始める、他の人を巻き込むという能力に長けていた」と語り、「何か不思議な、中村勘三郎という名前に宿った魂なのかな」と思いを馳せます。七之助も、「本来ならば、父がここに立って写真を撮っているはずであろうと思いますが、今月、勘太郎、長三郎も立派に勤めていますし、自分たちも、二人も、中村屋を背負っていかなければならない。プレッシャーと楽しみと、半分半分な気持ちです」と心の内を明かします。

 

『猿若江戸の初櫓』中村勘九郎

 『猿若江戸の初櫓』中村勘九郎

江戸歌舞伎の情熱を今に

 猿若を勤める勘九郎は、「父の襲名など、区切り区切りで踊らせていただいた」と作品を振り返ります。十七世勘三郎の三十三回忌追善の最中、2月15日が江戸歌舞伎発祥の日とされていますが、「江戸歌舞伎が始まったときの勢いや熱い情熱、そこから397年間、歌舞伎を愛する人々の思いがあって、現在に至る、そのパワーをお見せできたら。祖父の追善からふた月にわたって思いをつなげていけることを、うれしく思います」と、意欲を見せます。

 

 出雲の阿国を勤める七之助は、「中村屋にとってとてもゆかりのある演目を、兄弟で、序幕からやらせていただけるのは、本当に幸せです」と噛みしめます。阿国は「華やかさがありつつ、途中厳かに踊るところもあって、緩急があるような役」とし、「まだまだ大変な時期ですので、皆様に華やかな気持ちになって観ていただけるような歌舞伎を届けたいと思います。面白い振付で、賑やかで、衣裳の色もきれいですし、今の時期にはぴったりの踊りなのでは」と、語りました。

 

『猿若江戸の初櫓』中村七之助

 『猿若江戸の初櫓』中村七之助

コロナ禍の再出発

 出雲の阿国が始めた歌舞伎の歴史のなかで、女方誕生の背景のように、形を変えて続いてきた歌舞伎を、「“ピンチをチャンス”にしたのだと思いますね」と、振り返る勘九郎。「そうやって歌舞伎は、これまでも、乗り越えてきたんです。コロナなんかに負けないと信じたいですね」と、熱い思いを表します。

 

 「コロナ禍においての再出発という意味も込めて、めでたく舞えたら」と、勘九郎が締めくくりました。2024年に、江戸歌舞伎は400周年を迎え、同年は十八世勘三郎の十三回忌にも当たります。「父は亡くなってからもプロデュース力を発揮していますよね(笑)。その頃に猿若祭ができたらな、という夢ももっています」と語る、中村屋を継ぐ二人が、思いも新たに3月を迎えます。

 歌舞伎座「三月大歌舞伎」は、3月4日(木)から29日(月)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2021/02/22