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仁左衛門が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

仁左衛門が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

 

  7月3日(土)から始まる大阪松竹座「七月大歌舞伎」に出演する片岡仁左衛門が、公演に向けての思いを語りました。

2年ぶりの大阪松竹座公演

 「(大阪松竹座での)7月の公演というのは、私にとっても非常に大事な公演です」と、切り出した仁左衛門。昨年は新型コロナウイルスの影響で公演が中止となったため、大阪松竹座「七月大歌舞伎」は2年ぶりの開催となります。「大阪での歌舞伎公演が大変な時期に、澤村藤十郎さんのご尽力で、(「七月大歌舞伎」は)定着しました。関西の人間として、もちろん京都の吉例顔見世興行も大事ですが、また別の思い入れが強くあります」と、心の内を明かします。

 

 昨年度の公演中止については、「残念というか、寂しいというか、なんとも言えない気持ちでしたね。感染には気を付けなくてはなりませんが、文化としての娯楽は、やはり大事だと思います。ご覧になる方の、自粛による追い詰められた気持ちが、ひとときでも開放される。そういう時間が、絶対に大切だと思います」と、コロナ禍だからこその、エンターテインメントの重要性に込める思いを語りました。

 

仁左衛門が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」 

受け継ぐ心

 夜の部『双蝶々曲輪日記』「引窓」で仁左衛門が勤める十次兵衛は、父である十三世仁左衛門も、幾度も演じた役です。自身は、平成3(1991)年の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」で初めて勤め、「最初は習った通りやって、本流は父の型を引き継いでいますが、自分の思いがそこに加わり、どんどん変わっています」と、回を重ねた役への取り組みを明らかにします。

 

 「たとえば、母であるお幸に濡髪の逃げ道を教える場面は、たいてい立ったまませりふを言うんですよね。私は、親に対して立ったままなのはどうもひっかかりましたので、そこは座って言うことにしました。そういった変化は、随所にあります」と語り、「型というのは、動きを踏襲するためにありますが、心をしっかりと受け継いでいけば、変わっていってもかまわないものだと思います」と、芸を継ぐことへの信念をのぞかせました。

 

 劇中で、お幸が一所懸命に貯めたお金を、実の息子(濡髪)を見逃してくれるよう、義理の息子の十次兵衛に差し出す場面の、「鳥が粟を拾うように、貯め置かれたこのお金」というせりふが好きだと語る仁左衛門。「十次兵衛が『それはいりません』と言える情の持ち主であることを、いつも思い出しています。義理の親子の情愛と葛藤が非常に美しく、見事に描かれていると思う。ああ、親子っていいな、と感じていただければ」と、その魅力にふれました。

 

仁左衛門が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

 

生の舞台の楽しさを

 昼の部の『お祭り』は、「華やかな作品ですので、理屈なしに楽しんでいただきたい」と述べ、「私と倅(片岡孝太郎)と孫(片岡千之助)の、三人での『お祭り』は今回が初めてで、楽しみにしています」と期待をふくらませるひと幕も。千之助が大阪松竹座の舞台に立つのは、平成15(2003)年以来となります。「彼にとっても勉強させていただく良い機会。役者の成長を楽しんでいただくという要素も、芝居の楽しみ方としてございます。見守っていただければと思います」。

 

 現在の状況下で、作品を上演する難しさにも触れたうえで、「今は、オンデマンド配信でも公演が観られるけれども、少しでも多くの方に生の舞台を観ていただきたいです」と、力強く語りました。江戸の粋を感じさせる作品と、しっとりとした情のある上方の作品、東西の演目を昼夜で楽しめる「七月大歌舞伎」。「役者は、いろんな人間を演じたい。昼夜で別のものができるのは、やはり楽しみですね」と、締めくくりました。

 大阪松竹座「七月大歌舞伎」は7月3日(土)から18日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2021/06/09