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八代目菊五郎、菊之助が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

菊五郎、菊之助が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

 

 2025年7月5日(土)から始まる大阪松竹座「七月大歌舞伎」に出演の八代目尾上菊五郎、尾上菊之助が公演に向けての思いを語りました。

襲名の決意

 5月2日(金)から歌舞伎座で幕を開けた八代目尾上菊五郎、六代目尾上菊之助襲名披露。二人の菊五郎が誕生したことについて、菊五郎は「父も菊五郎の名跡を全うするということですので、私も八代目として並び立つことを決心いたしました。父がいることで、私も常に身が引き締まります。その大きな背中に追いつきたくて、芝居をさせていただいております。父の存在そのものが言葉だと思っております」と、役者としての父への尊敬を込めた表情を見せます。

 

 現在11歳の菊之助は、「父は18歳で(五代目)菊之助を襲名しました。私も高校生くらいの年で襲名するのだろうと思っていましたので、最初は本当にびっくりしました。もう少し丑之助の名前で舞台に立ちたい気持ちもありましたが、親子三代で襲名することが一番だと父からも伝えられ、頑張ることを決めました」と、決意の裏側を明かし、菊五郎も「(菊之助が)祖父に見守られながら襲名できるのは今のタイミングしかない」ことを伝えたと言います。

 

菊五郎、菊之助が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

 

音羽屋ゆかりの狂言を 

 襲名披露狂言には音羽屋ゆかりの演目が並びました。昼の部『羽根の禿』、『うかれ坊主』について菊五郎は、「六代目菊五郎はこの2役を役替わりで演じ、好評を得ました。今回は親子リレーで勤めます」。菊之助も「高祖父(六代目菊五郎)が得意としていた演目を私が上演できることはとてもうれしいです」と続きます。『梅雨小袖昔八丈』「髪結新三」の髪結新三は、菊五郎が大阪松竹座では初めて勤めます。七代目菊五郎が勤める新三と、たびたび舞台をともにしました。「五世菊五郎がつくりあげ、歴代の音羽屋が大事にしてきました。私は父の新三に憧れており、江戸の風情を大阪の方にも感じていただきたいと思います」と意気込みます。

 

 夜の部の『土蜘』は、五世菊五郎が制定した「新古演劇十種」の一つです。「私にとりましても大切な演目です。前半の智籌の怪しさから、後半の土蜘の精になってから正体を現すまで、新古演劇十種であるこの舞踊劇の面白さをお客様に味わっていただきたいと思っております」。

 

 菊之助時代から古典歌舞伎をはじめ、復活狂言から新作歌舞伎まで意欲的に取り組んできた菊五郎。「古典の魅力を伝えられる役者になり、途絶えている狂言の復活や新作歌舞伎をつくりあげ、伝統と革新の両輪をなす八代目菊五郎になりたい」と展望を述べます。菊之助については、役に対する向き合い方や姿勢が整ってきたとのこと。「先輩方に教えをいただいて、いろいろな経験を積んでいくと思います。歌舞伎が好きだという気持ちを大事に、今すぐに結果が出ることではなくても、ゆったりとした気持ちで成長していってほしい」と、温かい眼差しを向けます。

 

菊五郎、菊之助が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

 

大阪での襲名披露

 大阪での襲名披露については、「歌舞伎を心から待っていてくださるお客様が大勢いらっしゃると思います。船乗り込みなどでご挨拶させていただくときも、期待を込めて応援してくださいます。その声援を力に、大阪の皆様のお力添えのもと、勤めさせていただきたいです」。菊之助は初めての大阪松竹座について、「緊張はすると思いますが、初めての劇場だからこそ楽しみになります」と、頼もしい言葉で意気込みを語ります。

 

 菊五郎は、「片岡仁左衛門のお兄さんを中心として、関西の歌舞伎を盛り上げてくださる皆様のおかげ様をもちまして、この襲名披露をさせていただけます。また“関西・歌舞伎を愛する会”の皆様のお力添えもいただき、本当にありがたく思っております」と感謝の思いを語り、菊之助も「よりいっそう努力して、名前に負けない役者を目指します」と、抱負を述べました。

 大阪松竹座「七月大歌舞伎」は7月5日(土)~24日(木)までの公演。チケットは6月7日(土)から、チケットWeb松竹チケットホン松竹で発売予定です。

2025/05/26