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こども歌舞伎スクール寺子屋中学部門成果披露公演「歌舞伎、たのしい!」が開催されました
3月、歌舞伎座ギャラリーにある木挽町ホールで、こども歌舞伎スクール寺子屋中学部門成果披露公演「歌舞伎、たのしい!」が開催されました。
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こども歌舞伎スクール寺子屋は、歌舞伎子役の育成および歌舞伎を通した和の礼儀作法の習得という趣旨のもと、平成26(2014)年に開校し、平成29(2017)年には中学部門を発足しました。今回開催された「歌舞伎、たのしい!」では、20日(日)・21日(月・祝)に「寺子屋乙女かぶき『本朝不思議之國 夢逢姫(ほんちょうふしぎのくに ゆめあいひめ)』」を、26日(土)・27日(日)には「木挽町わかば座『菅原伝授手習鑑 車引』」を上演しました。今回は初の試みとして、4月22日(金)より歌舞伎オンデマンドでもその様子が配信される予定です。
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「寺子屋乙女かぶき『本朝不思議之國 夢逢姫』」は、中学部門・女子舞踊コースで日本舞踊の基礎などを学んできた生徒たちへ向けた新たな試みとして書き下ろされた新作。「不思議の国のアリス」を題材に、その不思議で可愛らしい世界観を歌舞伎として描いた本作は、戸部和久脚本、藤間勘十郎演出・振付、苫舟作曲、藤舎千穂作調、前田剛美術、平野茂照明、という本興行も支えるスタッフ陣によって製作されました。
舞台は、ある州の姫君・藍姫が、許嫁である信貴之助へいよいよ輿入する日を描きます。幕が開くと、迷子になった姫を探す腰元二人と信貴之助の奴・鏡太郎がコミカルなやりとりを繰り広げ、客席も和みます。そこに藍姫が登場し一人さまよっているなか、やってくるのはうさぎの兎丹角丸。逃げ出していった兎丹角丸を追いかけ、藍姫が不思議の国の穴に飛び込んでいくと、観客もその不思議の世界へと誘われていきます。
茶人・永休のお茶会や、“チェシャ猫”ならぬ知恵者(ちえしゃ)猫、女王・朱雀王の登場に、“アリス”をイメージした衣裳など、「不思議の国のアリス」を彷彿とさせる世界観に、舞踊「黒髪」を元にした場面や、『金閣寺』雪姫の爪先鼠を想起させる竹本の音楽に合わせたせりふ回しなど、歌舞伎ならではのみどころも加わり、観客は息をのんで見つめました。
幕間を挟んで披露されたのは、所作事『歌舞伎國乙女三番叟(ふしぎのくにおとめさんばそう)』。各役の個性を生かした踊りや美しい総踊りに客席も大いに華やぎ、13名の乙女たちの熱演に、客席からは満場の拍手が送られ、木挽町ホールは熱気に包まれました。
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2021年度中学部門・歌舞伎コースの成果披露公演として開催された「木挽町わかば座」は、中学部門の生徒たちが、歌舞伎の楽しさや伝統文化のすばらしさを発信することを目的に、本格的な歌舞伎演目に挑み、日頃の学びの成果を披露します。このたびは、歌舞伎俳優をゲストに迎えた「特別トークショー」と、歌舞伎コース生徒による『菅原伝授手習鑑 車引』が上演されました。
『車引』に先立ち上演された「木挽町わかば座 特別トークショー」では、26日(土)14時30分の回・17時30分の回に中村壱太郎が、27日(日)14時30分の回に寺子屋統括講師の中村雀右衛門が、17時30分の回に同じく統括講師の中村梅玉が登壇し、寺子屋に対する思いや生徒へのエールなど、さまざまなトークを繰り広げました。
『車引』は、前寺子屋統括講師の二世片岡秀太郎監修による上方の演出で、2班に分かれて上演。荒事らしい梅王丸と松王丸の力強さ、上方の演出ならではの和事味あふれる桜丸の柔らかさ、そして時平、杉王丸、金棒引藤内、それぞれの役をせりふや動き、見得に感情を込めて情感たっぷりに演じた生徒たち。『車引』という古典歌舞伎ならではの様式美をしっかりと表現し、最後は引き締まった表情で客席に向かい三方礼をして幕となりました。生徒たちの熱演に、会場からは惜しみない拍手が送られました。
寺子屋設立当時より寺子屋統括講師として尽力した秀太郎の温かい指導と歌舞伎への熱い思いを受けた生徒たちは、切磋琢磨しながら一所懸命に取り組んだ稽古の成果を存分に発揮しました。
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『夢逢姫』、『車引』両公演は、歌舞伎オンデマンドにて4月22日(金)正午より配信が開始します。予約購入特典がつく予約購入は4月22日(金)11:59まで、通常購入は5月8日(日)までです。「木挽町わかば座 特別トークショー」のダイジェスト映像もご覧いただけます。生徒たちの熱い舞台を、どうぞ配信でもお楽しみください。配信についての詳細はこちらをご確認ください。