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超歌舞伎『永遠花誉功』、ニコニコ超会議2022で上演

超歌舞伎『永遠花誉功』、ニコニコ超会議2022で上演

 超歌舞伎『永遠花誉功』中村獅童

 4月29日(金・祝)・30日(土)、千葉県 幕張メッセで超歌舞伎『永遠花誉功(とわのはなほまれのいさおし)』が上演されました。

 平成28(2016)年から続く「超歌舞伎 Supported by NTT」に、今回は新作『永遠花誉功』が登場。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会場ではかけ声ではなく拍手とペンライトで、ニコニコ生放送から視聴するニコニコユーザーはコメントで、公演に参加します。今回は2日間で約59.6万人のユーザーがオンライン上で観劇を楽しみました。

 

 開幕前、既にペンライトの光が揺れる会場や、そしてユーザーのコメントが流れるニコニコ生放送のモニターの様子から、超歌舞伎ファンの期待が伝わります。裃姿で登場し、挨拶の口上を述べる獅童と初音ミクを、会場は獅童を応援する赤、そしてミクを応援する緑のペンライトを点して、またユーザーは超歌舞伎流の大向うともいえる、「萬屋」、「初音屋」、「電話屋」というコメントで迎えました。

 

超歌舞伎『永遠花誉功』、ニコニコ超会議2022で上演

 超歌舞伎『永遠花誉功』左より、初音ミク、中村獅童

古典歌舞伎も取り入れて

 中大兄皇子が中臣鎌足とともに蘇我入鹿を討ち、大化の改新の発端となった乙巳の変。『永遠花誉功』は、この事件を題材にした古典歌舞伎の諸作品に着想を得て生まれました。物語は、國矢勤める蘇我入鹿が、獅一勤める中納言安倍行主を騙し討つ場面から始まります。実は天皇の位を狙っていた入鹿は、見事にぶっ返って本性を見せ、豪快な笑い声を響かせます。

 

 ところ変わって、亡き太宰少弐の屋敷。ミク勤める太宰少弐息女苧環姫が、桃の節句を祝って可憐に舞う姿はこれまでよりいっそうなめらかで美しく、思わずため息が出るほどです。苧環姫の母、蝶紫勤める太宰少弐後室定高のもとへ獅童勤める金輪五郎今国が訪れ、苧環姫を入鹿の妻にと迫りますが、実は現在の苧環姫は、今国に恋焦がれ数年前に儚くなった苧環姫を偲び屏風に描かれた絵姿。この秘密を聞いた今国も、朝敵の入鹿を討たんとする自らの本心を明かすのでした。

 

超歌舞伎『永遠花誉功』、ニコニコ超会議2022で上演

 超歌舞伎『永遠花誉功』左より、中村いてう、片岡千次郎、澤村國矢

 場面転換の合間に登場したのは、今回超歌舞伎に初参加となる、千次郎勤める入鹿家臣宮越玄蕃と、いてう勤める入鹿家臣荒巻弥藤次。それぞれ「ニコニコ」や「NTT」をモチーフにした隈取りを施した二人は、賑やかな挨拶を披露し、お客様にも笑顔が広がりました。

 

 

限界のない進化を遂げる

 輿入れしてきた苧環姫が絵姿と知って怒り心頭の入鹿。あわやというところに現れた今国が入鹿に挑みかかり、今国を応援する赤、入鹿を応援する青のペンライトやメッセージが会場やモニターにあふれるなか、戦いが始まります。入鹿が召喚した龍神相手に手こずる今国のもとに駆け付けたのは、サプライズ出演となった小川陽喜勤める今国の息子、金輪小五郎陽国。NTTの超高臨場感通信技術「Kirari!」の「リアルタイム被写体抽出技術(分身の術)」を使いながら敵を蹴散らす雄姿が、観る者の心を奪います。

 

超歌舞伎『永遠花誉功』、ニコニコ超会議2022で上演

 超歌舞伎『永遠花誉功』左より、澤村國矢、中村獅童

超歌舞伎『永遠花誉功』、ニコニコ超会議2022で上演

 超歌舞伎『永遠花誉功』小川陽喜

 

 死闘を続ける今国に加勢し、入鹿を絵姿の世界へ引き込んだ苧環姫。超歌舞伎で初めて披露される「ボリュメトリック技術」がつくり出す、二次元と三次元の境を感じさせない衝撃の光景に、誰もが息をのみながら、戦いを見守ります。「緑の色の灯火と、数多の人の言の葉」を集め、力を得た大鎌を用いて入鹿を倒した今国。力尽きて消失していった苧環姫を思い、一面の桜を見つめ、しばし無言で立ち尽くします。感情が滲み伝わる数秒間ののち、観客もユーザーも喝采を寄せるなか、力強く六方を踏んで引っ込んでいくのでした。

 

超歌舞伎『永遠花誉功』、ニコニコ超会議2022で上演

 超歌舞伎『永遠花誉功』左より、澤村國矢、初音ミク

超歌舞伎『永遠花誉功』、ニコニコ超会議2022で上演

 超歌舞伎『永遠花誉功』中村獅童

 

 今作のテーマ曲である「初音ミクの消失」が流れるエンディングでは、獅童の呼びかけに応えて、ペンライトが力強く揺れ、モニターにはユーザーのコメントが押し寄せます。千穐楽では、ダブルカーテンコールが用意され、着物姿のミクがギターを手におなじみの「千本桜」のテーマを歌い上げるなか、獅童のかけ声とともに、会場、ユーザーすべてが一つになり、2日間の公演が幕を降ろしました。

超歌舞伎『永遠花誉功』、ニコニコ超会議2022で上演

 超歌舞伎『永遠花誉功』前列左より、中村蝶紫、小川陽喜、中村獅一、澤村國矢、後列左より、初音ミク、中村獅童

全国4都市での公演へ

 初回の公演後のインタビューで、獅童は、「こちら(出演者やスタッフ)もそうですし、お客様も思いをぶつけてくださった」と、手ごたえを感じた様子。「会話を交わすわけではないけれど、声を出さなくても思いが伝わってきます。初演のときから、ここ(幕張メッセ)にくると熱い気持ちになります。やはりお客様とつくり上げてきた作品なのだなと思いますね」と、重ねてきた時間に思いを馳せます。

 

 いよいよこの夏、博多座御園座新橋演舞場南座と4劇場での公演が実現します。「いつも皆様の熱い声援、コメントに勇気づけられ、もっといい芝居を、とかき立てられます。この超歌舞伎をもっとたくさんの方に広げていきたい。皆様が育ててくださった超歌舞伎というお芝居を、我々も全身全霊で勤めて皆様にお返ししていく。その繰り返しで、皆様と歴史をつくっていけたらと思います」と、将来を見据えた思いを明かしました。

 

 

ニコニコネット超歌舞伎2022 超歌舞伎『永遠花誉功』タイムシフト視聴はこちらから

※ニコニコのプレミアム会員に登録していただくと、各公演の様子を翌月同日の23:59まで視聴可能です

 

 

「超歌舞伎」オフィシャルサイト

「ニコニコネット超会議2022」オフィシャルサイト

2022/05/11