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「坂東玉三郎 特別舞踊公演」が南座で開幕

 2022年7月23日(土)、南座で「坂東玉三郎 特別舞踊公演」が初日を迎えました。

 平成6(1994)年に南座で初めて玉三郎の特別舞踊公演を開催して以来、今年で17回目の開催を迎える南座「坂東玉三郎 特別舞踊公演」。

 

 今回の公演でも幕開きを飾るのは、『口上』です。幕が開き、玉三郎が裃を着て登場すると、客席からは待ってましたと言わんばかりの大きな拍手が沸き起こりました。玉三郎は、今回上演される『高尾』と『藤娘』について紹介。それぞれご覧いただくお客様の心で受け止め、思いを巡らせながら、特別なひとときをお過ごしいただきたいと述べました。美しい日本文化のますますの発展を願ってご挨拶を終えると、いよいよ舞踊2題の上演が始まります。

 

 まずは、『高尾』。実在した吉原を代表する傾城の高尾太夫は、十一代続いたとされる名跡で、その名を継いだ者のなかで最も名高いとされるのが、この舞踊に登場する二代目の高尾です。本作では、彼女の苦悩を玉三郎が長唄にのせて描きます。今は亡き高尾は、念佛の声に誘われるように塚のそばから姿を現すと、親族のために廓に身を沈めた苦しき日々や、そこで見た四季折々の情景を語ります。やがて恋しい人を待ちわびる儚い思い出も妖艶に踊り出し、美しくも憂いに満ちた姿に客席は引き込まれていきます。

 

 続く『藤娘』では、雰囲気が一転。明かりが点くと、そこは近江国大津で、咲き誇る一面の藤の花のなかに藤の精が佇みます。藤の枝を一本持ち踊る姿は、まるで大津絵から飛び出したかのように愛らしく、お客様もうっとり。若々しさを感じさせる鮮やかな色合いの衣裳に替わり、つれない男への可憐な恋心を踊ります。さらに、今度は藤色の衣裳に替わり登場し、「藤音頭」となると、可愛らしく客席へ向かって三方礼。お客様も熱い拍手で応えます。手踊りでは艶やかさも見せ、一つの演目のなかにもたくさんの魅力が詰まった、玉三郎ならではの『藤娘』の世界に、客席からは惜しみない拍手が送られました。

 南座「坂東玉三郎 特別舞踊公演」は7月27日(水)までの公演。チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2022/07/24