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尾上右近「第七回研の會」のお知らせ

　2023年8月2日（水）・3日（木）、浅草公会堂で尾上右近自主公演「研の會」が開催されます。

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　これで7回目を迎える「研の會」。開催地の浅草は、東京出身の右近にとって「東京の故郷が見つかったと思わせてくれた土地」だと言います。思い入れのあるこの地で上演するのは『夏祭浪花鑑』と『京鹿子娘道成寺』。すべて初役に挑戦する今回の舞台について、「自分に課題を課して、大変な思いをして大きくなっていこうという、自主公演ならではの充実した内容です」と、きりりとした眼差しで述べました。

仲間に恵まれた

　『夏祭浪花鑑』では、「男らしくて泥臭い、まっすぐな浪花の男」だという団七九郎兵衛と、お辰を演じます。「どちらもやりたかった。立役女方両方勉強させていただいていますし、立役が増えてきましたが、やはり女方に対する愛情、愛着もあります」と、役を選んだ背景を伝えました。「団七は幸四郎のお兄さん（松本幸四郎）に教わり、最終的に白鸚のおじ様（松本白鸚）にもご覧いただきます。お辰は、中村京蔵さんに先代の雀右衛門のおじ様（四世中村雀右衛門）の型を直接うかがって、勉強させていただきます」。

　「それぞれのお役について、この方にやっていただけたらと思う俳優さんがパチっとはまらないとできないような演目」だと感じていたと明かし、釣船三婦を勤める中村鴈治郎や、一寸徳兵衛と三河屋義平次の2役を勤める坂東巳之助をはじめ、出演者一人ひとりについて思い入れたっぷりに紹介した右近。「先輩、同輩、後輩、そしてスタッフに恵まれていることを、自主公演でまた実感します」と、ありがたみを噛みしめます。

大評判をとることが目標

　『京鹿子娘道成寺』では、白拍子花子に初めて挑みます。「女方舞踊のなかでも最高峰と言われる舞踊作品で、音羽屋にとっても縁の深い演目です。所化のお役でこれまで何度も出させていただき、花子の踊りを見て勉強してきた経験も踏まえて、初役の白拍子花子を大事に勤めたいと思っています」と、意気込みを見せます。

　「藤間勘十郎先生に見ていただきます。踊りきるだけでも大変と言われる作品ですが、踊りきることが目標ではなくて、大評判を取ることが目標です」と、きっぱりと宣言。「体力的にはとにかく大変ですけども、大変なことを見てくださいというわけではない。『夏祭浪花鑑』と『道成寺』、それぞれきちんと評価していただけるような舞台をつくりたいです」と、言葉に力を込めました。

人の縁は財産

　取材会見のなかで、日本を代表する現代美術家・横尾忠則氏による特別版公演ポスターも公開されました。右近は、対談の仕事をきっかけに横尾氏と交流が生まれ、ポスター制作の依頼に至った背景を振り返り、「この2演目と、そして私が自主公演にかける思いに、時間をかけて向き合って、つくっていただきました」と、感慨深く語ります。

　実際のポスターを前に、「シンプルかつ、透明度が高く、若さもあって、僕のことをとても考えて、制作していただいたと感じました」と、喜びをにじませます。そして「この『研の會』が続く限り、お手伝いさせていただければうれしい」という、横尾氏からの温かなメッセージが読み上げられると、満面の笑みを浮かべる場面も。「（横尾氏と）出会えて本当に幸せです。この自主公演にも、まさにそれを感じる瞬間が詰まっていますが、やはり人と関わることが人生における財産なのだと思います」と、素直な思いを伝えました。

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　会見後、「僕が面白いと思う歌舞伎を楽しみながらやっている姿を観てくださったら、間違いなく歌舞伎を好きになってもらえる、それを信じて取り組んでいる企画です。今回は特に、話の筋をあまり気にせず見ていただける、楽しんでいただけることがコンセプトです」と、改めてコメントを寄せた右近。「自信をもってお届けしたい」と語る、今年の「研の會」への期待が高まります。