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大阪松竹座「壽 初春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み
▲ 前列左より、市川中車、片岡孝太郎、横山英幸大阪市長、吉村洋文大阪府知事、中村鴈治郎、片岡愛之助、後列左より、中村歌之助、中村壱太郎、中村種之助
2026年1月7日(水)から大阪松竹座で始まる大阪国際文化芸術プロジェクト「壽 初春歌舞伎特別公演」に出演の中村鴈治郎、片岡孝太郎、片岡愛之助、市川中車、中村壱太郎、中村種之助、中村歌之助が、公演について語りました。
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令和5(2023)年から始まった多彩で豊かな大阪の文化芸術の魅力発信を強化する「大阪国際文化芸術プロジェクト」。来年1月に、大阪府・大阪市・大阪文化芸術事業実行委員会の主催による「壽 初春歌舞伎特別公演」が上演されます。会見に参加した吉村洋文大阪府知事は、「演目は古典を中心に、歌舞伎ファンの皆様、そして歌舞伎を始めてご覧になるという方にもぜひお越しいただき、歌舞伎の魅力、そして大阪の文化、伝統の魅力を感じ取っていただきたいと思います」と、力強く挨拶しました。横山英幸大阪市長は、「大阪は非常に豊かな上方文化をもっております。これを機に世界に発信していくためにも、本公演を通してこのプロジェクトをしっかり盛り上げていきたいと思います」と、続けました。
昼夜4演目に出演の鴈治郎は、12月の南座「吉例顔見世興行」に続いて、令和8(2026)年の新年を大阪松竹座で迎えます。「昼の部『金閣寺』では大きな松永大膳にしたいと思っております。『らくだ』では家主幸兵衛を勤め、(市川)猿弥さん(家主女房おさい)と念願の夫婦役です。夜の部『女鳴神』の雲野絶間之助は色気のある、憂いを含んだ青年として演じたいと思っております。『道成寺』は、『二人道成寺』だと思っていたら、私は押戻しでした(笑)。正月、切の狂言ですので、大変めでたく終われるのではないかと思います」と、ユーモアを交えて述べました。
昼夜それぞれ、『金閣寺』、『女鳴神』に出演の孝太郎。「『金閣寺』の慶寿院は、大先輩たちがおやりになることが多かったお役です。そのような大きなお役を初役で勤めさせていただきますこと、とても光栄なことだと思っております。『女鳴神』は今回も鴈治郎のお兄様の雲野絶間之助で鳴神尼を勤めさせていただき、また後半で中車さんとご一緒できますのも、うれしくありがたいことです。鳴神尼は、女方ですが隈取をします。初役のときに、先輩方のものを見てみるとそれぞれ違っておりましたが、自分なりに研究したもので今回も勤めます」と、抱負を語りました。
「古典の歌舞伎をたくさんの方に見ていただきたい」と語る愛之助。「『金閣寺』の碁を打つ場面では、鴈治郎のお兄さんと実際に碁の勝負ができることも楽しみにしております(笑)。『らくだ』では、久しぶりに中車さんとご一緒させていただきます。(久六との)二人のやり取りがとても面白いです。『仮名手本忠臣蔵』の『七段目』の由良之助は、叔父(片岡仁左衛門)から手取り足取り教わった大切なお役でございます。たくさん教えていただき、財産になりました。上方役者として大阪松竹座で勤めさせていただく、こんなうれしいことはございません」と、感慨を込めます。
中車は、「古典の作品が並ぶなか、『らくだ』は肩の力を抜いてご覧いただけると思います。『女鳴神』の佐久間玄蕃と『七段目』の斧九太夫はともに初役です。どちらも一所懸命勤めさせていただきます」と、意気込みます。「大阪は先祖の出身地でもありますので、戻ってきたという気持ちになります。この1月の公演が、私は大阪松竹座への最後の出演になるかもしれません。楽屋に入る前の道を通ることがなくなるのは寂しい思いですが、まずは正月の公演を気持ちよく迎えたいと思っております」と、思いを滲ませました。
壱太郎は、3演目で大役に挑みます。「女方冥利に尽きる2026年の幕開けだと思います。『金閣寺』雪姫の初役の際には、坂東玉三郎のおじ様に教えていただきました。慶寿院は、祖父(四世坂田藤十郎)最後の舞台でした。懐かしく、いろいろな思い出が詰まった作品です。『七段目』のおかるはいつか勤めたいと思っていました。上方の型でしっかりと勤めたいです。『京鹿子娘道成寺』は、美しいな、綺麗だな、素敵だな、と思っていただくうちに終わるような舞台にしたいです」と、抱負を述べました。
正月の大阪松竹座出演は初となる種之助。「私の配役に“吉右衛門”と書かれていてもおかしくないほど、(昼夜)どちらもとても大きなお役」と、敬意を込めます。『菅原伝授手習鑑』の『車引』では初役で松王丸、『七段目』では寺岡平右衛門を勤めます。「小さい頃から吉右衛門のおじさんにいろいろなことを教えていただきましたが、初めて大きなお役を習ったのがこの平右衛門でした。さまざまなお役を勤めることの土台となる“役を演じる”ということを教えていただきました。当時教わったこと、型の力を信じて勤めさせていただきたいです」。
歌之助は、「お正月の大阪松竹座に出演できること、とてもうれしく思っております。『菅原伝授手習鑑』と同じく、私は3兄弟ですので、いつか『車引』のお役を勤めたいと思っていた憧れの役です。父(中村芝翫)に教わり丁寧に勤めたいです。『七段目』の大星力弥、こちらも父や兄たちにも伺いながら、成駒屋としての力弥をお見せしたいです。『京鹿子娘道成寺』は、大勢の所化の芯として出させていただくことになりますので、気を引き締めてお正月の公演を頑張りたいと思います」と、強い決意を見せました。
出演者のコメントを受け、吉村知事は「皆さんのお話を聞いていると、ワクワクしてきて楽しみな気持ちがさらに強くなりました。多くの方に歌舞伎の魅力、上方文化の魅力を楽しんでもらいたいと思います」と呼びかけます。続けて横山市長は、「大阪に来て文化を感じていただけるような取り組みを全力で進めていきたいと思っております。歌舞伎の世界もどんどん活性化していくと思います。(大阪府としても)素晴らしい魅力を発信していきたいです」と、決意を掲げました。
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大阪松竹座「壽 初春歌舞伎特別公演」は、2026年1月7日(水)から25日(日)までの公演。チケットは11月16日(日)から、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で発売予定です。
