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七之助が語る、新作シネマ歌舞伎『唐茄子屋 不思議国之若旦那』
2024年1月5日(金)から全国の映画館で上映が始まる新作『唐茄子屋 不思議国之若旦那(とうなすや ふしぎのくにのわかだんな)』に向けて、中村七之助が思いを語りました。
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平成中村座初の新作
平成中村座で古典歌舞伎の上演が続いてきた理由を聞かれると七之助は、「江戸の芝居小屋を模した劇場なので古典が似合うというのもありますし、父(十八世中村勘三郎)は、古典をずっとやっていきたいと常々言っておりましたので、父の夢であった平成中村座では、自然と古典が選ばれていったのかなと思います。兄(中村勘九郎)と僕も同じ気持ちでしたので、特にこだわりがある、ということではありませんでした」と、これまでの平成中村座公演を懐かしそうに振り返ります。
「以前から宮藤官九郎さんには、いつか平成中村座で新作を書いていただきたいという願望があった」と、思いを明かすも、コロナ禍で公演が3年間空白に。「この令和4(2022)年10月、11月の公演は、コロナ後初めての平成中村座公演となり、我々にとっては本当に夢のようでした。タイミングも合って、宮藤さんの新作上演も決定。せっかくの新作なので2カ月できたらと、話し合いを重ねました」と、上演に至った経緯を感慨深く語りました。
甥っ子たちから学んだ姿勢
落語「唐茄子屋政談」に、「不思議の国のアリス」の要素が入っていると聞いたときには、「宮藤さんの脚本の力は信じていますし、本当におもちゃ箱みたいな頭の中をされているな、とわくわくしました」と、語る一方でその演出については、「自分で考えてやってみることが必要とされます。宮藤さんも面白がって、じゃぁこうしようとイマジネーションがふくらんでいく。脚本に肉付けをする作業は、役者がやっていくところに難しさを感じました」と、作品づくりの魅力についても明かしました。
「この公演の稽古場で一番驚いたのは、甥っ子(中村勘太郎、中村長三郎)二人の成長でした。叔父馬鹿ではなく役者目線で見て、二人の吸収力の高さ、柔軟性は素晴らしく、宮藤さんも喜んで、どんどん演出がふくらんでいきました。兄と僕が若いときは、何か自由にやってほしいと言われると、恥ずかしがってよく怒られていましたが、毎日楽しそうにしている二人に、稽古場はチャレンジするものだと教えてもらいました」と、笑みがこぼれます。
今回の新作シネマ歌舞伎『唐茄子屋 不思議国之若旦那』は、平成中村座ならではの客席の雰囲気も収められ、場内の盛り上がりも十分に感じていただける充実の内容。七之助は、「楽しい作品なので、肩の力を抜いて気軽に観ていただける作品だと思います。シネマですと実際の舞台をご覧いただくより、鑑賞料金もお安いですし、シネマ歌舞伎を観て、さらにそこから劇場に行きたいと思っていただけたらうれしいです」と、語り締めくくりました。
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シネマ歌舞伎『唐茄子屋 不思議国之若旦那』は令和6(2024)年1月5日(金)から1月25日(木)、東劇、新宿ピカデリーほか全国の映画館で上映。チケットは各映画館でお求めいただけるほか、購入特典でポストカードがついてくるお得なムビチケカード(※購入特典、ムビチケともに数量限定)は1月4日(木)まで販売中です。