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勘九郎、七之助が語る「六月博多座大歌舞伎」

6月4日(水)に開幕する博多座「六月博多座大歌舞伎」に出演する中村勘九郎、中村七之助が、公演に向けての思いを語りました。
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勘九郎、七之助ともに、博多座への出演は平成30(2018)年以来です。「念願叶って7年ぶりに博多座に出演できること、本当にうれしく思います。また、6月の博多座は平成21(2009)年以来、16年ぶりですので、船乗り込みも久しぶりで楽しみにしております」と勘九郎。七之助は、10代の頃に若い一座で出演したときのことを「博多座が開場して間もない頃だったでしょうか、お練りのときから大勢のお客様にお越しいただき、公演にもたくさんご来場いただけて、うれしかった素敵な思い出があります」と、振り返ります。

昼夜多彩な演目で
昼の部『お祭り』について、勘九郎は「(鳶頭の)匂いや、醸し出される雰囲気、色気を大事にしなければいけません」。また久々の博多座出演でもあり、「“待ってました!”のコールアンドレスポンスがあることも、この演目を選んだ理由」と、明かしました。昨年5月東京・新宿のTHEATER MILANO-Za「歌舞伎町大歌舞伎」で初演し好評を得た『福叶神恋噺』について、七之助は「ストーリーもわかりやすくて楽しく、お客様の反応もとても良い作品。今回は(市川)猿弥さんが貧乏神の元締めで出てくださいますし、初演とどう変わるのか楽しみです」と期待を込め、博多ならではの工夫も思索中とのこと。勘九郎は「私は、すかんぴんという役ですが、(前の演目の)『お祭り』とのギャップを感じていただけるとうれしいです。お客様も避けるくらいに汚く演じたいと思っています(笑)」と意欲的です。
夜の部の『怪談乳房榎』は、父の十八世中村勘三郎が三世實川延若から教えを受け、それが勘九郎に継承された、中村屋にとっても大切な演目です。「父が延若のおじさまに実際に習っていなければ、たぶん今の世に続いていなかった作品。それを私に教えてくれたおかげで上演できています」と、思いを込めます。3役早替りについては、「役の人物になりきり、気持ちを一番大切に、早替りのショーになってはいけないということはいつも心がけています」。七之助は重信妻お関について、「このお芝居の原因、肝になる女性なので、とても大切なお役です。兄の初演時から勤めていますので、自信をもって皆様にお届けできると思います」と、頼もしい言葉で続きます。

お客様を思い一丸となって
それぞれが花形を中心とした配役となる、昼の部『双蝶々曲輪日記』「引窓」、夜の部『菅原伝授手習鑑』「道行詞の甘替」について勘九郎は、「『引窓』は親子、夫婦、そして兄弟の絆と、とても短いなかに凝縮されている作品です。『道行詞の甘替』は、実に59年ぶりの上演で、『菅原伝授手習鑑』はご当地ゆかりの狂言でもあります。お客様に楽しんでいただける作品に仕上げなければいけませんし、彼らならやってくれると思います。信じています」と、エールを送ります。
気心の知れたメンバーとの出演について七之助は、「ともに突き進んできた仲間が多い座組なので、チームワークは信頼しており、同じ方向を向いてお芝居ができる自信があります。お客様のことを思い一所懸命勤めたい」と、真摯に述べます。勘九郎は、「いろいろな年齢層の方々に観ていただきたいという思いがあります。お客様に、歌舞伎って面白い、楽しい、観に来てよかったと思っていただけるような作品を続けていくことが一生の目標です」と、力強く締めくくりました。
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博多座「六月博多座大歌舞伎」は、6月4日(水)から26日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、博多座オンラインチケット、電話予約センター、劇場窓口ほかで販売中です。