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尾上松緑出演『無筆の出世』、4月歌舞伎座で上演決定

 2025年4月の歌舞伎座で、尾上松緑が主演する『無筆の出世』の上演が発表されました。

 江戸時代から大衆の文化として人気を博してきた歌舞伎と講談は、互いに影響しあい、交流を持ちながら新たな作品を生み出してきました。このたび上演が決定した『無筆の出世』は、人間国宝の講談師・神田松鯉が速記本から起こした講談を原作とする新作歌舞伎。奉公人の治助という男が、酒癖の悪い主人から受けた仇を恩で返す心温まる物語です。演出の西森英行、脚本の竹柴潤一と、これまで松緑主演で好評を博した『荒川十太夫』『俵星玄蕃』のスタッフが再集結します。

 

 講談を歌舞伎として上演する試みの第三弾となる本作に向けて、松緑は「三作目にして初めて“忠臣蔵”物から離れてのチャレンジです。今回も“擬古典”として違和感の無い作品に仕上げつつ、これまでに無かった演出等も作者、演出家、共演者、スタッフの皆とアイディアを出し合っている所です。作品の世界観を壊すこと無く、また歌舞伎座の舞台で上演しておかしくない作品につくって行きたいと決意しております」と、上演への思いを述べています。

 

 今回、講談の提供だけではなく『無筆の出世』に出演することも決定した神田松鯉は、「40数年前に古い速記本から起した愛着のある作品」だと言う本作の上演を喜び、また出演に向けて「尾上松緑丈をはじめ皆様の期待とご厚意に背かぬよう懸命に勤めさせていただきます」とコメント。また演出を勤める西森英行は、本作について「誰しも心の在りどころが混迷するこの時代だからこそお届けしたい、講談から生まれた心に沁みる一作」と、期待を誘うコメントを寄せています。歌舞伎座の4月公演に、どうぞご注目ください。

2025/01/07