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「三月花形歌舞伎」が南座で開幕

▲ 南座正面に集まった多くの歌舞伎ファンを前に、出演者四人がご挨拶
2025年3月2日(日)、南座で「三月花形歌舞伎」の初日が幕を開けました。開幕前には、出演の中村壱太郎、中村米吉、中村福之助、中村虎之介が、初日挨拶を行いました。
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初日開幕直前、各々の役のイメージカラーに合わせ、鮮やかな色紋付姿で南座正面に登場した四人。壱太郎が「今年の公演のテーマは“恋に狂い、恋に戸惑い、恋に踊る”です。来年、そしてさらにその先へこの公演を続けていけるように、精いっぱい勤めてまいります」と宣言すると、米吉が「お客様への特典など、企画もいろいろございますので、何度も足をお運びいただけますと幸いです」と続きます。福之助は「楽しみでワクワクしています。熱い芝居をお届けいたします」と決意を述べると、最後に虎之介が「皆で力を合わせて舞台をつくり上げていきますので、ご声援よろしくお願いします」と、呼びかけました。最後には、公演の成功を願い壱太郎の発声で手締めを行い、劇場前につめかけたお客様も大盛り上がりのなか、イベントは終了しました。
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次代を担う若手俳優による本公演は、『〈乍憚手引き口上〉(はばかりながらてびきこうじょう)』から始まります。初日の午前の部の松プログラムでは、壱太郎が客席から登場して、演目の魅力や注目ポイントをお客様に楽しく解説しました。最初の演目は、『妹背山婦女庭訓』「三笠山御殿」です。お三輪(米吉)の求女(虎之介)に対する一途な恋心が、激しい嫉妬へと変貌する様子や、漁師姿の豪胆な鱶七(福之助)が入鹿の恐嚇にも動じない様子、その後、金輪五郎という素性を明かし真相を語る「物語」など、見せ場が続く古典の大作に、客席からは大きな拍手が送られました。続く『於染久松色讀販』「お染の五役」では、壱太郎が早替りの趣向で5役を見事に演じ分け、迫力の立廻りも披露。見ごたえ十分の午前の部となりました。
午後の部の桜プログラムでは、『〈乍憚手引き口上〉』で米吉が登場。午前の部と同様、南座の公式キャラクター・みなみーなも登場しての撮影タイムも設けられ、場内は和やかな雰囲気に包まれました。続く『伊勢音頭恋寝刃』では虎之介が、柔らかみのある色気のなかにも芯の強さをもつ役柄“ぴんとこな”の典型とされる福岡貢を勤めます。万野(壱太郎)の憎らしさや、お紺(米吉)の本心を隠した愛想尽かし、そして奥庭での殺しの場面など、歌舞伎の様式美あふれる世界に、観客も大いに引き込まれました。最後の『於染久松色讀販』「お染の五役」では、壱太郎が松プログラムとの役や演出の違いを華やかに見せます。鮮やかな早替りの数々に、午後の部も客席からは万雷の拍手が送られました。
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南座「三月花形歌舞伎」は23日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。