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南座「吉例顔見世興行」大入り願うまねき書き
2025年11月7日(金)、京都市内の妙傳寺にて、京の年中行事「當る午歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」に向けて、「まねき書き」が行われました。
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京の年末恒例行事である南座の「吉例顔見世興行」。劇場正面に飾られる「まねき看板」は、1年でこの興行でしかお目にかかれない、まさに「吉例顔見世興行」の顔とも呼べる存在。手書きで毎年作られており、大入りを願う勘亭流で記された俳優の名前と、その俳優の紋が、上部に庵形がついた看板に描かれます。
南座のまねき看板に使われる勘亭流は、大正11(1922)年から約50余年ほど筆をとった竹田耕清が、本来の勘亭流を基に、大きな看板でも目立つようにと肉太で隙間の少ない現在の書体に仕上げました。一門のあいだではこの書体を「まねき文字」と呼び、南座のまねき看板にのみ使用する書体として、竹田耕清以降も受け継がれています。
揮毫は、今年で3年目となる勘亭流書家の川端清波さん。極力隙間なく太く書くことで、千客万来を願う「まねき看板」。川端さんは、「初日から千穐楽まで無事に円満にいくようにと、願いをこめて丸く書くことを意識して書きました。顔見世にたくさんお客様に足を運んでいただけたらと思います。その一助になれていたらと思うと非常にうれしいです」と心境を述べました。
今年は八代目尾上菊五郎、六代目尾上菊之助の襲名披露。尾上の「尾」の文字について川端さんは、「これまで代々受け継いできた“尾”の形で、まねきらしさがあると思います。私にとっても非常に勉強になる字でした」と語り、美しく筆を走らせました。総数約60枚のまねき看板は、11月下旬に南座正面に掲げられ、京の師走を彩ります。
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京の年中行事「當る午歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」は12月1日(日)から25日(木)までの公演。チケットは11月9日(日)から、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で発売予定です。
