歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



シアターコクーン 「渋谷・コクーン歌舞伎第十四弾」  『三人吉三』 松也さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 尾上松也

何が来ても楽しめるように準備しておく

 ――9月は新橋演舞場の「舟木一夫特別公演」の『―天一坊秘聞― 八百万石に挑む男』で天一坊をなさるそうですね。映画の「八百万石に挑む男」(中川信夫監督、橋本忍脚本)の初の舞台化で、舟木さんが山内伊賀之亮を演じられるとうかがいました。これはまた新たなジャンルへの挑戦ですね。

 びっくりしました。僕が出てもいいのかなと思いました。『天一坊』は、歌舞伎でも馴染みのある芝居で、僕も菊五郎のおにいさんが『天一坊大岡政談』(平成13年6月歌舞伎座)をなさったときに、出演いたしました。そのとき、ちょうどコクーンで『三人吉三』をやっていたんですよね…。

 舟木さんにはまだお目にかかったことはありませんが、先日お電話でお話をさせていただきました。舟木さんという大先輩の大スターとご一緒させていただけるなんて、こんな光栄なことはありません。信頼する齋藤雅文さんが脚本を担当されるので、楽しみです。

 ――歌舞伎では大役が続いています。それも『菅原伝授手習鑑』の桜丸、武部源蔵、『心謎解色絲』の山住五平太、そして『仮名手本忠臣蔵』の顔世御前と、敵役から二枚目、女方まで幅が広いですね。どんな俳優になりたいとお考えですか。

 立役が増え、女方の機会もあまりないだろうと思っていた矢先の顔世御前(平成24年4月新橋演舞場)で、驚きました。その後も女方が続いたので、こういう路線で行くのかと思いきや、今度は大敵が来たり。どんな役が来るか、まったく想像できないので、敵役から女方から二枚目から何が来ても、できるように準備をして、楽しんでいけるようにできたらと思います。

 最近は敵役をさせていただくことが増えました。敵役は面白いです。いじめる楽しさというか、最後はやっつけられることが多いですが、つくっていく楽しさがあります。敵役もどんどんやっていきたいです。

 ――お父様の松助さん(六世尾上松助 平成17年12月26日没)が、今のご活躍をご覧になったら喜ばれるでしょうね。

 僕にいい役が付くと、父は「若いのにいい役をやりやがって」と怒っていました。自分が僕の年代のときに、いい役なんてしていませんでしたから。40歳を超えてようやくある程度の役がつくようになってきたと思います。ですので、うれしさとジェラシーと半々だったでしょう。役者は親子でもライバル。今でも多分、上の方で父はそう思っているのではないでしょうか。

 父の生きているとき、僕は女方ばかりでした。今回の『三人吉三』のお坊も、父がやるタイプの役でしたし、敵役も父は得意でしたから、今なら毎月のように聞きたいことが山ほどあります。いてくれたらなと思うことは多いです。

尾上松也 音羽屋!

尾上松也さんをもっと知りたい!

二代目 尾上松也(おのえ まつや)

生まれ 昭和60年1月30日、東京都生まれ。
家族 六代目尾上松助の長男。
初舞台 平成2年5月歌舞伎座『伽羅先代萩』足利鶴千代で二代目尾上松也を名のり初舞台。

平成25年

平成26年

  • 1月 「初春歌舞伎公演」(国立劇場) 『三千両初春駒曳』漁師網作実は小田家家臣小早川采女
  • 2月 「二月花形歌舞伎」(歌舞伎座) 『心謎解色糸』山住五平太
  • 3月 「三月花形歌舞伎」(京都四條南座) 『吹雪峠』助蔵/『素襖落』次郎冠者/『御摂勧進帳』音羽丸/『京鹿子娘道成寺』所化仙念坊
  • 4月 「第三十回記念 四国こんぴら歌舞伎大芝居」(金丸座<旧金毘羅大芝居>) 『菅原伝授手習鑑』「加茂堤」「車引」舎人桜丸/「寺子屋」武部源蔵 /『女殺油地獄』豊嶋屋七左衛門

ようこそ歌舞伎へ

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