歌舞伎いろは

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きりっとした印象の「お太鼓結び」
優しい印象を与える「銀座結び」
シックな色合いの米沢 置賜紬は、どちらの帯結びにもなじみます。
 

 「お太鼓結び」は、結ぶ機会も多くどんな着物にも似合う帯結びの基本とされています。
この結び方は江戸時代に生まれたもので、江戸亀戸天神の太鼓橋が再建され、その渡り初めをした深川芸者衆が、そろいのきものに結んだ新しい帯結びが太鼓橋の形に似ていたことから、その名が付けられたといわれています。

 写真は、さわやかな印象を与える薄いグレーの紬に茶系の洒落袋帯を合わせ、まずは すっきりとした「二重太鼓」に。様々なシーンで結べる「お太鼓結び」ですが、見せたい雰囲気や着る人の身長などによって、結ぶ位置やお太鼓の大きさを変えるだけで印象はぐっと変化します。

 基本の「お太鼓結び」を少し崩して「銀座結び」へと変化させてみました。略礼装にもなる格をもつモダンなイメージの帯は「銀座結び」がよく似合います。「お太鼓結び」のきりっとした印象から、ふくらみのある優しい印象へと雰囲気が変わり、軽やかなお洒落を楽しむのにぴったりな帯結びとなります。帯結びによって使う帯枕の種類を変えることもポイントです。「二重太鼓」のときは厚みのあるものを、「銀座結び」のときはうすいものを使うと背中がすっきりと見え、より美しい後姿が出来あがります。

長沼静きもの学院

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