歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



 和の装いの中で、最もカジュアルな装いとされているのがゆかたです。ゆかたは昔から、素肌素足に着るものとされていますが、肌襦袢・裾除けは身につけます。気軽にスリップなどを用いても良いでしょう。

 涼しげに装うことが大切なゆかたの着こなし。ゆかたを着るときには糊の効いたしわのないものを着ることで、さっぱりとした清涼感をもたせましょう。また、素足に下駄というスタイルなので、足のお手入れにも気を配りたいものです。

 きっぱりとした藍染の長板中形(※3)なら、絽の長襦袢と絽の半衿をつけ、足袋と草履を履くことで夏きもの風にアレンジして街着として楽しむこともできます。

 一枚のゆかたをシーンに合わせて着こなす楽しみは、まさにお洒落の醍醐味ともいえるでしょう。今回、街着風の装いには涼しげな紗献上の博多帯に、ピンクのレースの帯締めとうすいグリーンの帯揚げを合わせることで、凛とした長板中形にやわらかさをプラスしました。

 また秋草と虫かごの文様が清涼感を感じさせてくれるゆかたの装いには、文庫結びをアレンジし、からし色とピンクの両面の帯色を生かした個性的な印象に仕上げました。

長板中形(※3):一反の生地が一度にはりつけられる長い板で型染めされたことから「長板染め」と言われるようになりました。両面同じ柄に染まるようにのりを置く贅沢な技法で、柄の部分がくっきりと浮き上がるのが特徴です。

ゆかたを別名「中形」といいますが、これは中形の型紙を使って藍染めにしたところからゆかたの総称として名づけられたものです。

 
夏のお太鼓結びは小ぶりにすることでシャキッと涼しさを出すことがポイントです。
半衿をつけると、半衿をつけない着こなしと印象が様変わりし街着としても楽しめる装いとなります。

長沼静きもの学院

バックナンバー