歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



 衣類用のたんすが庶民に普及したのは江戸時代後期になってからのこと。現代ではマンションなどが多く、収納や虫干しのために十分なスペースを確保することが難しくなってきています。ちょっとした工夫で、大切なきものを湿気や虫から守ってあげるように心がけたいものです。

○ 虫干しについて
 きものの手入れに虫干しは欠かせません。虫干しは、3、4日晴天続きの日で、空気が乾燥している日を選びます。時間は一日の中で最も乾燥している午前10時から午後3時ごろまでに行います。直接日光の当たらない風通しのよい部屋にロープを張り、部屋の内側から庭の方向に向かって風をさえぎらない角度にきもの類をかけます。マンションでは、玄関を開けてベランダへと風を通したところにハンガーラックなどを置いてきもの類をかけると良いでしょう。

○ 虫干しが終わったら
 虫干しの間に空気中の細菌やほこりがつくこともあり、虫干しによって乾燥されたカビを取るために、終わった後は充分にブラシをかけます。温まっているものは、温度が下がってからたたみます。

○ 正しいたたみ方を知りましょう
 型崩れを防ぐには折り目正しくたたむことが大切です。基本的なたたみ方である「本だたみ」をきちんと覚えましょう。留袖・振袖・訪問着など、特別な箔や刺繍で「本だたみ」ができない場合には、「夜着だたみ」にすると折り目をつけずにたたむことができ、箔や刺繍が傷みません。

○ きもののしまい方
 きものをしまう際には防湿・防虫に気を配ります。きものはたとう紙に包み、できるだけ乾燥した所に収納します。防虫剤は上から下に浸透していくので、一番上に置いておきます。また、同時に二種類の防虫剤を入れると、化学反応を起こしてしみを作ってしまうことがあるので、注意します。

 
たとう紙の上に写真を貼って中身が分かるようにしておくと、きもの選びがスムーズです。
「夜着たたみ」は、特別な箔や紋にしわや汚れがつくのを防いでくれます。たたむ際に、箔や紋に薄紙をおくと生地や糸を傷めません。
正しい「本たたみ」を覚えるために、きものの名称もきちんと覚えておきましょう。

長沼静きもの学院

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