歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



井尻学先生の作品をトータルコーディネートで楽しんだ天沼さんの装い。シンボルマークでもあるコウモリがさりげなく施されています。腕に光るシルバーのブレスレットも涼しさを演出してくれています。
全体的にやさしい印象の佐藤さんの装いにスパイスを効かせているのは、くっきりとした赤の帯締。「実は、口紅の色に合わせているんですよ。」と教えてくださいました。
淡い色合いを組み合わせた蔦の文様が可愛らしい帯は、岩下さんお気に入りの一筋。あずき色の帯揚やレースと絹糸を合わせた白とブルーの夏の帯締は、帯の色からひとつずつとってコーディネートしました。
 
 夏きものは「薄物」と言われるように光の加減によっては、中が透けて見えます。キレイに着付けたつもりでも、長襦袢で使われたひもや伊達締が見えてしまっては、せっかくの装いが台無しになってしまいます。夏の透け感は見る人にも涼感を与え、喜ばれる装いなだけに、着るときには見え方にも気を配るように心がけましょう。まずは、下着をしっかりと着ることが大切です。長襦袢はシワがないように、また紐を結ぶと短くなるので、着丈には注意が必要です。あまりきつく着付けてしまうとヒップラインがはっきりと出てしまうので、気持ち余裕を与えるようにすると良いでしょう。

 夏の装いで大切なのは気持ちのいい「涼」を感じさせることです。衣紋を抜きすぎず、半衿も出しすぎずにすっきりと着こなすことを心がけましょう。帯揚や帯締、半衿といった小物類も夏物があると便利です。特に帯締は装いの要ともなるので、すっきりとした細目の夏用の帯締を用意するようにしましょう。

 また、忘れてはならないのは汗対策です。最近では、冷房が効いていてあまり暑さを感じることなくきものの装いを楽しむことができるようにはなりましたが、やはりしっかりと汗対策はしておきたいものです。夏場の補正には汗をよく吸うタオルなどを用い、下着は麻・綿・絹といった天然素材のものを使うとよいでしょう。家庭で洗える化繊の下着も多く出回っているので、こまめに洗いたいという方にはおすすめです。

 夏のお出かけは知らないうちに汗をたくさんかいているもの。脱いだらすぐにさぼしましょう。汗は以外と落ちにくいものです。放っておくと汗じみができてしまい、染み抜きができなくなってしまうこともあります。季節が終わったら、専門家に依頼して丸洗いか汗ぬきをしてもらうと良いでしょう。


長沼静きもの学院

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