歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



背筋を伸ばし、足は気持ち内股気味に。歩幅が大きくならないように気をつけながら歩きます。

バッグを手に持つ際は、持ち手を中指と薬指に載せるようなイメージで、軽くふわっと握ると美しく見えます。

着崩れの心配がある車の乗り降りも、基本をおさえれば恐れることはありません。頭から乗らず、腰から乗るようにしてください。
 きものを着ると、誰しも自然に動作に気を配るようになるものですが、着慣れていない人にとっては、「動きづらくて疲れそう」とか、「所作をどうすればいいのかわからない」といった不安が付き物です。けれども、きものは、元々は日常着。基本のマナーとちょっとしたコツさえ覚えれば、動きも断然ラクになり、なおかつ美しく見せることができます。
 きもの慣れした印象を与えることもできるので、この機会に改めて基本を見直してみましょう。


 歩幅は、草履ひとつ分くらいが目安です。難しく考えずに、「裾がはだけないように」意識して歩くと、ちょうど良い歩幅になるでしょう。左右の草履が離れすぎないように心がけ、摺り足や外股にならないように気をつけて歩きましょう。


 歩く際に、迷ってしまいがちなのがバッグの持ち方。これといった決まりはありませんが、屋外では手首に軽くかけるようにして持つと便利です。屋内で同じように持っても失礼には当たりませんが、手に持つとより改まった印象に。写真を撮る際などにおすすめです。 なお、きものを着た際の手の動きは、「肘から下だけを動かす」のが基本。バッグを持つ手はもちろん、ショールの襟元を抑えたり、遠くの人に手を振る際などは、肩を動かさず、必ず肘から下だけで動作を行いましょう。


 荷物を先に車内へ入れ、シートに浅く腰掛けます。助手席の背もたれに手を置いて支えながら、体をくるりと回転させ、両足をそろえて中に入れましょう。この時、きものの裾を踏まないように注意します。最後に、きもののよれをなくすため、いったん腰を浮かして座り直します。降りる時は、この反対の動作を行いましょう。

長沼静きもの学院

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