歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



インドのアッサム地方の絹糸で制作されている鈴木隆弘先生のブランド、「マチュア」のきもの。天然素材のもつエネルギーが、着る人を温かく包み込みます。

 

きものと同じタッサーシルクで織り上げられた名古屋帯。紬地なのでカジュアルですが、柄に金糸が入っているため、豪華な雰囲気が漂います。大島紬にもよく合います。

 

銀通しの紗綾形にお正月の文様、竹と梅を正面に配した格調高い帯で、フォーマルな装いであることを強調。これなら、紬ながら略礼装に近い格に。注目したいのは、織りではなく染めの帯を合わせた点。金糸が入っているとはいえ、やはり普段着扱いの紬には違いないので、染めの帯で格のバランスを取っています。

 縮緬をはじめ、冬に適したきもの素材はいろいろありますが、紬もそのひとつ。真綿からなる紬は保温性に優れ、冬の寒さから体を守ってくれます。紬が大好きという間宮美代子さんは、カジュアルながらも初春らしい美しさを備えた染紬の小紋に、モダンな帯を合わせました。織りのきものである紬はカジュアルな装いですが、染紬はやや格が高く、帯などを工夫することでお正月用のきものとして着ることも可能です。

 今回は、小紋に描かれた金糸の葡萄唐草や正倉院文様に、更紗文様の刺し子刺繍があしらわれた帯という、異国情緒あふれる柄を組み合わせ、あでやかさを演出しました。このきものと帯は、タッサーシルクというインドの絹でできており、生命力のたくましささえ感じさせる光沢の強さが、光あふれる華やかな席で、一層輝きを放ちます。お正月はもちろん、クリスマスパーティーや観劇など、大勢が集まる場所で、品よく派手やかさを表現できます。

 染紬は、小紋と紬、二つの要素をもっており、最近とくに人気があるきものです。訪問着のように映ることもあれば、ちょっとした外出で気軽に袖を通すこともでき、一枚あると重宝するところが、人気の秘密といえるでしょう。雰囲気を変えるのは、もちろん帯。ただし、格調高くといっても、紬とのバランスがとれていなければ、ちぐはぐな印象がぬぐえません。柄と生地選びは慎重に行い、コーディネートを楽しんでください。

長沼静きもの学院

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