歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



基本となっているのは夕涼み
 元来、ゆかたは素肌にさらっとまとって、夕涼みをするための召し物でした。ですから、日が落ちてから近所に出かけることはあっても、日中のお出かけに着ることはありませんでした。

 ところが、近頃は前ページにもご紹介したような高級ゆかたが登場。素肌に直接着るのではなく、夏きもののように長襦袢をつけ、夏の軽い社交着として楽しむ人も増えてきました。くつろぐためのゆかたではなく、お出かけ着とする場合は、補正も忘れずにきっちり行いましょう。やはり見た目が大きく違ってきますし、着崩れの心配も少なくなります。

変わり結びも楽しいゆかたの帯
 ゆかたに用いられることの多い半幅帯は、基本の「文庫結び」以外に、さまざまな変わり結びが考案されています。後ろ手に結ぶのが難しいという人には、前で結んで後ろに回すという方法もあります。今はそれを容易にする小道具なども作られているので、試してみてはいかがでしょうか。

 文庫結びから自分なりに工夫をして、変わり結びを楽しむほか、高級ゆかたの場合は、半幅ではない博多帯などを「お太鼓結び」にしても素敵です。ほかのきものと違い、ゆかたは帯の素材や色、柄などの許容範囲が広いので、個性を発揮していろいろチャレンジしてみてください。

 また、帯締めや帯揚げ、半衿、足袋を身に着けると、よりいっそう街着としてふさわしい着こなしになります。


帯結びを助け、帯の形が崩れにくく、結び目がずれないようにしてくれる「ささめ」。長沼静きもの学院の教材の一つで、半幅帯の帯結びのバリエーションがより簡単に楽しめます。
 

藍染めの長板中型で大人のゆかた
藍一色で染め出された長板中型のゆかたで、粋な大人の女性の着こなしになった伊澤敬子さん。「高級感のあるものから、手ごろなお値段のものまであって、ゆかたは選択の幅が広くて楽しい」から、つい毎年買ってしまうのだとか。光沢のある薄黄色の半幅帯が、藍染めにとてもよく合っています。シックなゆかたなので、普通の文庫ではなく、変わり角出しに結びました。

 

華やかな明るい色の絞りのゆかた
茜色に染め上げた有松の絞りのゆかたを着たのは堂原茜さん。今回はピンクの帯を合わせて明るいコーディネイトにしていますが、白の紗献上帯などをお太鼓に結べば、大人っぽい印象にもなります。一枚のゆかたも帯を変えて、さまざまなコーディネイトが楽しめます。帯の前を斜めに折り返して色違いの裏を見せ、アクセントをつけました。蝶が羽を広げたような変わり文庫結びです。

 

涼やかな色の絞りのゆかた
ブルーと紫色の涼やかな色合わせが美しい、有松の絞りのゆかたを着た山中利枝子さんも、夏が来る前に今年はどんなゆかたをあつらえようかしら、と考えるのを楽しみにしている一人です。今回は、レースの帯締めを花結びにして、さわやかな色のゆかた姿に華やかさを添えています。そして、帯結びを片流しにしたことですっきりと、しかもあでやかな着こなしになりました。

長沼静きもの学院

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