歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



 
 
人込みで気をつけたいこと

 いつもに増して人出の多いの場所へ出かけるのがお正月。帯や袖、裾を引っ張られて着崩れる――なんてことにならないよう、十分に気をつけましょう。せっかくの帯結びも、崩れていないか、時折、鏡などでチェック。特にトイレへ行った後は、たれが上がってしまうことがあります。鏡を見ながら写真のようにして下ろしてください。
 さらに、人込みできものを守る、その頼もしい味方がコート(道行)です。防寒としても必要ですが、一枚、羽織っていることで、帯を引っ掛けられて大変!などというアクシデントから身を守ってくれます。また、きもののコートは「塵よけ」とも呼ばれるくらいで、汚れなどからも守ってくれる重宝なアイテムです。

 
スマートに見える階段の昇り降り

 せっかくのきもの姿ですから、大股歩きで裾から長襦袢が、などということは避けたいものです。そのためには、右手を右腿あたりに置いておくと、たとえ階段でも、前合わせがはだけにくくなります。振袖の場合は、長い袖にも注意。豪華な振袖で階段掃除なんてことにならないように、袖をそっと押さえましょう。

 
参拝のとき、バッグはどこに?

 二礼二拍手一拝というのが、神社に参拝する際の一般的な拝礼の作法ですが、この間、バッグをどこに置くかは悩ましいところ。初詣の混雑の中ではバッグを手から離すのも不安です。腕が丸見えにならないよう、手首のあたりにそっとバッグをかけて参拝するのがよいのではないでしょうか。

 
 
もし着崩れてしまったら…

 きものを着たまま長い時間のお出かけとなると、着崩れが心配という人も多いでしょう。まずは着付の際に、腰紐をしっかりと締めておくことが肝心です。が、万が一、着崩れてきてしまったら…。特に気になるのは衿元でしょうか。そのとき、弛んでしまったかしらと、衿元を触ってはいけません。さらに着崩れ招きかねないからです。衿元ではなく、帯の垂れの下にあるお端折りをぐいっと下へ引っ張る。こうすることで、衿元がピッと締まります。  また、とにかくきものを着たら、四肢を大きく動かすことは避けること。洋装と同じように腕を挙げたりしては、はだけやすくなるばかりです。

 
寒さ対策はどうしたら?

 寒さがもっとも厳しい季節ですから、寒さ対策は必須です。コート(道行)は必需品ですが、問題は振袖の場合です。振袖の袖が収まるコートはなかなかありませんから、ショールなどで防寒を考えておきましょう。場合によっては、薄手の防寒肌着を下に着たり、きもの用ストッキングを履くのもいいかもしれません。
 きものを着た場合、冷たい空気が入り込んでくるのは主にうなじです。ここを防御することを意識して、防寒対策をとりましょう。コートを着た場合でも、ショールで守ればさらに安心。衣紋からのぞかないように、使い捨てカイロを貼ってしまうという隠し技もあります。

 
 

長沼静きもの学院

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